7月19日、トヨタ自動車は新型アクアを発売した。先代(初代)のアクアを振り返ってみれば、そもそもアクアはプリウスの下のクラスを受け持ち、ハイブリッドのグローバルな普及を目的に販売されていたモデル。輸出名が「プリウスC」であったことからその役割は容易に想像できるだろう。
フルモデルチェンジした新型アクア
1997年に発売された初代プリウスは、第1世代のライフを通じて、徐々に市民権を獲得し、2003年デビューの第2世代(20型)で、普及が進んだ。続く第3世代では3列シートのプリウスαとこのアクアが追加され、バリエーションが充実していく。ハイブリッドは、隣近所の駐車場にごく普通に見かけるクルマとして浸透していった。
一方自動車全体のマーケットがどうなっていたかといえば、国内ではリーマンショック以降、国民所得の伸びがピタリと止まってしまったことを受けて、かつてDセグのコロナとプリメーラ、あるいはCセグのカローラとシビックあたりだったファミリーカーの主力は、あれよあれよという間に、ヴィッツやフィットやノートといったBセグメントクラスへと収束していった。
いや、Bセグメントが全てを引き受けたように書くのはあまり正確ではない。大雑把にいって、Dセグはミニバンに、Cセグが軽とBセグにという具合に、3カテゴリーに分散していったのである。
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ヤリスは高評価だが、満点ではない。悪いところはいろいろとあるが、それはパッケージの中でのトレードオフ、つまり何を重視してスペースを配分するかの結果だ。ヒューマンインタフェースから、なぜAピラーが倒れているかまで、コンパクトカーのパッケージに付いて回るトレードオフを、ヤリスを例に考えてみよう。
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コバルトの問題が難問過ぎるので、今注目を集めているのが、従来のハイコバルト系リチウムイオン電池に代わる方式だ。最も早く話題になったのがリン酸鉄電池である。ついでナトリウム電池、そしてニッケル水素のバイポーラ型電池。長らく次期エースと目されている全固体電池もある。
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年末の慌ただしい時期に、自動車業界を震撼(しんかん)させたのがこのガソリン車禁止のニュースだった。10月26日の菅義偉首相の所信表明演説と、12月11日の小泉進次郎環境大臣会見が基本になるだろう。カンタンにするために、所信表明演説を超訳する。
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トヨタは「モータースポーツからクルマを開発する」というコンセプトを実現するために、製造方法を変えた。ラインを流しながら組み立てることを放棄したのである。従来のワンオフ・ハンドメイドの側から見れば高効率化であり、大量生産の側から見れば、従来の制約を超えた生産精度の劇的な向上である。これによって、トヨタは量産品のひとつ上にプレタポルテ的セミオーダーの商品群を設定できることになる。
- ヤリスとトヨタのとんでもない総合力
これまで、Bセグメントで何を買うかと聞かれたら、マツダ・デミオ(Mazda2)かスズキ・スイフトと答えてきたし、正直なところそれ以外は多少の差はあれど「止めておいたら?」という水準だった。しかしその中でもトヨタはどん尻を争う体たらくだったのだ。しかし、「もっといいクルマ」の掛け声の下、心を入れ替えたトヨタが本気で作ったTNGAになったヤリスは、出来のレベルが別物だ。
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