クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

新型アクア ヤリスじゃダメなのか?池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

» 2021年08月23日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

ヤリスとアクアは競合する気配なし

 さて、ヤリスがトヨタの新型GA-Bプラットフォームで登場した時、ヤリスクロスとアクアも同時に企画されていたのだそうだ。筆者的には、ヤリスの出来を確認した時には「もうこれにアクアのバッチを付けて売ればいいのに」と思ったのだが、そうはいかなかったらしい。

 ひとつにはヤリスは欧州戦略車としての役務がある。小型車群のグループにおいて、世界でも最も手強い欧州勢と直接対決して、勝利を収めるためには、やはり走行性能面での勝負を強く意識した商品にならざるを得ない。

 しかし、販売台数の多いクラスであるだけに、客層も幅広い、欧州で戦うヤリス1本では、特に日本国内ユーザーには若干スパルタン過ぎる。ということで、ヤリスとアクアは明確に仕立てを変えることにしたわけである。最も大きいのはリヤの空間。リヤシートのプライオリティを上げるためにボディサイズとホイールベースを延伸した。

車名 全長/全幅/全高 ホイールベース 車両重量(最軽量モデル)
ヤリス 3940ミリ/1695ミリ/1500ミリ 2550ミリ 940キログラム
アクア 4050ミリ/1695ミリ/1485ミリ 2600ミリ 1080キログラム

 ヤリスはリヤシートをほぼ使わないことを前提に、ボディ全長を短くすると共に、ホイールベースも短くしている。要するにコンパクトで軽い。その分キビキビ走るし、ハンドリングもシャープ。同じコースを一緒に走らせたわけではないが、実用燃費もまず間違いなく上だろう。筆者が異なるルートを走った実績ではヤリス・ハイブリッドはリッター33キロ。アクアは25キロだった。ちなみにヤリスクロスも25キロである。CAFE規制が厳しい欧州では燃費は罰則のクレジット、つまり会社の利益に直結する。

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