クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2020年06月08日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:新型ハリアーはトヨタの新たな到達点 (1/6)

トヨタは、売れ筋のSUVマーケットにまた強力な新兵器を投入する。SUVバリエーションの最後のピースであるハリアーだ。結論からいえば、新型ハリアーは、多面的なその調律に成功し、トヨタブランドの範疇(はんちゅう)の高級というものが、バラバラの要素ではなく、一つの方向にキチンと収斂(しゅうれん)して、なるほどと思わせるものになっていた。

[池田直渡,ITmedia]

 トヨタは、売れ筋のSUVマーケットにまた強力な新兵器を投入する。最初にネタバラシをすると、これはトヨタがさらに一皮むけて、自動車文化のジャンルに一石を投じるモデルになっていると筆者は思った。そういうところが、これまでトヨタが最も苦手とするジャンルだったのだ。

トヨタの4代目ハリアー。コロナ緊急事態宣言解除を受け、千葉の袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗会が行われた

カムリのプラットフォームから生まれた3つのSUV

 1997年デビューの初代以来、都市型SUVという新たなマーケットを築いてきたハリアーが、6月にフルチェンジを迎えて4代目へと変わる。基本となるシャシーは、カムリでデビューしたTNGA世代のGA-Kプラットフォームだ。すでに同じSUVジャンルとして、RAV4が驚異的なヒットを飛ばしている。

 このGA-KプラットフォームSUVのポートフォリオ戦略が見事である。基本となるプラットフォームは、カムリがデビューした時から、極めて好印象だった。トヨタはカムリを「セクシーなセダン」だというが、筆者の印象はむしろ「良妻賢母」。ぬるめの温泉のように全身の緊張がほぐれて、クルマの包容力に任せてどこまでも走っていけそうに思った。

 セクシーなセダンと説明するチーフエンジニアにうっかり、「峰不二子じゃないですよねぇ。どっちかというと京塚昌子みたいな安心感です」と言って、嫌な顔をされた。褒め言葉なのだが、まあ気持ちは分かる。

 しかしながら、そのザ・昭和の母みたいな安心感を支えるのは、実は驚異的なシャシーのポテンシャルだ。ちょっとやそっと飛ばしても音を上げないレベルにある。クローズドコースならともかく、公道であれの限界を試すなんてことをやったら逮捕されかねない速度になると思う。そういう極めてよくできた基本アーキテクチャーを用いて、トヨタは3台のSUVを作り分けた。

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