トヨタは、売れ筋のSUVマーケットにまた強力な新兵器を投入する。最初にネタバラシをすると、これはトヨタがさらに一皮むけて、自動車文化のジャンルに一石を投じるモデルになっていると筆者は思った。そういうところが、これまでトヨタが最も苦手とするジャンルだったのだ。
1997年デビューの初代以来、都市型SUVという新たなマーケットを築いてきたハリアーが、6月にフルチェンジを迎えて4代目へと変わる。基本となるシャシーは、カムリでデビューしたTNGA世代のGA-Kプラットフォームだ。すでに同じSUVジャンルとして、RAV4が驚異的なヒットを飛ばしている。
このGA-KプラットフォームSUVのポートフォリオ戦略が見事である。基本となるプラットフォームは、カムリがデビューした時から、極めて好印象だった。トヨタはカムリを「セクシーなセダン」だというが、筆者の印象はむしろ「良妻賢母」。ぬるめの温泉のように全身の緊張がほぐれて、クルマの包容力に任せてどこまでも走っていけそうに思った。
セクシーなセダンと説明するチーフエンジニアにうっかり、「峰不二子じゃないですよねぇ。どっちかというと京塚昌子みたいな安心感です」と言って、嫌な顔をされた。褒め言葉なのだが、まあ気持ちは分かる。
しかしながら、そのザ・昭和の母みたいな安心感を支えるのは、実は驚異的なシャシーのポテンシャルだ。ちょっとやそっと飛ばしても音を上げないレベルにある。クローズドコースならともかく、公道であれの限界を試すなんてことをやったら逮捕されかねない速度になると思う。そういう極めてよくできた基本アーキテクチャーを用いて、トヨタは3台のSUVを作り分けた。
日本に凱旋した北米マーケットの大黒柱RAV4
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