さて、恒例の新年企画は、1日と2日の連続で2019年に乗って良かったクルマについて書いてみよう。基本的にデビュー順だ。
ややこしいのは、カローラ・シリーズは今年の括りなのか去年の括りなのかだ。ハッチバックのカローラ・スポーツのみ、すでに2018年6月で先行デビューしており、19年9月17日にセダンとツーリング(ワゴン)が追加されると同時にスポーツもマイナーチェンジが行われ、課題だった直進安定性が大幅に向上している点だ。
カローラー・スポーツに関しては去年すでに一度取り上げてもいるので、重複すると指摘されればその通りと言う他ない。ただ少なくともセダンとツーリングというおそらくカローラの主流となるボディタイプは今年デビューなのでそれを避けても通れない。面倒なので全部まとめて今年モノとして扱ってしまうことにした。
さて、トップバッターは4月10日に発売されたトヨタRAV4である(4月22日の記事参照)。北米では先代からカムリを抜いて、トヨタの最量販車種となっていたRAV4だが、トヨタ自身の予想をも超えて日本でもヒットを飛ばしている。
北米の再量販車種として日本に戻ってきた新型RAV4
なぜそんなに売れているかといえば、商品性からみたコストパフォーマンスが抜群に良いからだと思う。最廉価の2.0ガソリン2WDモデルなら266万円(税込み、以下同)から。4WDでも289万円。最高値のハイブリッド+E-Fourですら389万円。プリウスが257万円から、カローラ・セダンだって普通に選ばれるであろうハイブリッドだと240万円からの値段になる。RAV4の値付けを見る限り、昨今のCセグメントの価格帯に肉薄している。筆者も値段を聞いた時には正直ちょっと驚いた。
その価格でありながら、プラットフォームはひとクラス上のEセグメントのカムリ用GA-Kプラットフォームを採用している。これではプリウスやカローラの立つ瀬がないではないか。
- 日本に凱旋した北米マーケットの大黒柱RAV4
トヨタ自動車の新型RAV4は北米で屋台骨を支える最量販車種。無骨な方向に進化し、大型化して日本に戻ってきた。3種類の四輪駆動方式の違いと特徴はいかに。
- MAZDA3 一番上のエンジンと一番下のエンジン
MAZDA3のことはすでに書き尽くした感もあるのだが、国内仕様の試乗会に行ってみたら思わぬ伏兵が待っていた。今回の試乗会の主役はXだったはずなのに、いきなり予定調和が崩れる。SKYACTIV-G 1.5を積んだクルマが素晴らしかったからだ。箱根で行われた試乗会では、乗る人乗る人に「1.5良いねぇ」と言われまくったマツダの人達は、極めて複雑な表情だった。
- 新型タントデビュー DNGAって一体なんだ?(後編)
多くの人が「新世代プラットフォーム」の名前だと勘違いしているが、DNGAはトヨタのTNGAと同様に、企業まるごとの強靭化計画であり、設計や生産のみならず、部品調達や人材教育まで、ダイハツの企業経営全体を強化する新しい経営思想だ。10%以上の大幅なコストダウンとともに、将来の開発や改造を最初から織り込んで設計されている。その効果は、タントでも福祉車両に見ることができる。
- ダメなカローラと良いカローラ
旧型のカローラと、TNGAベースの新型カローラは月とすっぽんくらいに違う。2010年前後デビューのトヨタ車の出来はありていにいってひどい。新型カローラシリーズは、だいぶ素晴らしい。完璧とはいわないが相当に良い。先行して登場したカローラ・スポーツで感じた違和感はどのようになったのか。
- カローラ・セダン/ワゴンが意味するもの
最量販車種の座をプリウスに奪われ、ファミリーカーの本流の座はノア/ボクシーに奪われた。気がつくとカローラは「年寄り向けの地味なクルマ」でしかなくなっていた。さらに世界各国で販売されるカローラは、地域によって求められるキャラクターが異なる。「スポーツ」「高級」「取り回し」の3つを同時にかなえるクルマを目指さなければいけない宿命を持ったカローラ。TNGAでハード的には対応を進めたが、問題は「自分のものにしたい」と思わせるキャラクターが立っているかどうかだ。
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