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» 2021年10月08日 08時00分 公開

“時代錯誤”から残業ゼロ、週休3日に! 鳥取の不動産会社がレガシー企業からDX先進企業になれたワケたった一人の熱意が会社を変えた!(2/4 ページ)

[酒井麻里子,ITmedia]

<改革その1>「ホワイトボート破棄」でスケジュールをデジタル化

 まずは「簡単に実行できそうなところ」として、16年にはスケジュール管理のデジタル化に着手した。サイボウズのクラウドツールを導入し、そこに予定を入力するルールを新たに設けたのである。

 とはいえ、当時はPCが1人1台用意されていない状態。まずは人数分のPCをそろえることから始め、使い方が分からない社員にはその都度入力方法を教えるなど地道に社内でツールの普及を進めた。

 使い勝手の良さを感じて積極的に利用する社員が増えていく一方で、新しい方法を面倒がり、なかなかスケジュールを入力してくれない人もいたという。最終的には、反感覚悟で「ホワイトボードを捨てる」という強硬手段で移行を完了させた。

 「結果として強硬手段にはなってしまいましたが、やはり物理的なツールを撤去することで『変わらざるを得ない環境』に持ち込むことは、最も効果のある解決策になりますし、こちらの本気度を示すパフォーマンスにもなります。もちろんその分、社員が新しいツールを使いこなせるようになるための手厚いサポートは怠らない心づもりでした。スケジュールのデジタル化はファーストステップ。そこから次の段階に進むためにも、例え“パワープレイだ、横暴だ”と言われても、社内環境を良くするためには必要なことだと思いました」(内田氏)

photo 現在のウチダレック。紙書類をなくしたことで社内もすっきりした印象に変わった

<改革その2>クラウド導入で問い合わせや営業成果を可視化

 手始めにスケジュール管理から社員がIT利用に慣れてきた段階で、より高い効果が期待できる分野の改革を進めた。

 紙で管理していた入居者からのトラブルの問い合わせをクラウドへ移行。同時に電話対応とクラウドシステムへの情報入力をコールセンターへアウトソーシングして、社員は入力された情報に基づいた対応に専念できるようなフローを確立した。煩雑な電話対応を社内で行う必要がなくなったことに加え、どのような問題が発生しているかを社内の誰もが把握できるようになり、業務の属人化が解消できたという。

 さらに、情報が可視化されたことで分析も可能になった。問い合わせ内容をグラフ化した結果、廊下や玄関など共用部の照明切れについての連絡が多いことが判明。寿命の長いLEDライトに変えて交換時期を管理することで、共用部に関する問合せを25%から15%に削減できたそうだ。「それまでは“問い合わせに迅速に対応する”ことを重視していましたが、可視化と分析によって、問い合わせにつながるトラブル自体を未然に防げるようになりました」と、内田氏はその効果を話す。

 また、営業スタッフの日報もExcelからクラウドへ移行した。実績をリアルタイムで把握可能にすることで、成果を出せている営業とそうでない営業の差を可視化。その差をどうやって埋めていくかを検討できるようにするなど、業績改善のためのDXにも手を抜かなかった。

<改革その3>自社開発のツールで最適化

 内田氏の改革はまだ止まらない。17年には自社の業務に最適化したツールの開発にも乗り出した。当初はセールスフォースのクラウドツールを使用していたが、既製品ではまかなえないプロセスも生じたという。そこで、エンジニアを新規に雇用し、外部ベンダーの協力もあおぎながらセールスフォースをベースにした独自システム「カクシンクラウド」を開発。20年からは他社での販売や導入支援も手掛けることで、自社だけに閉じない、不動産業界全体のDX推進にも貢献している。

 「従来のツールは、“特定の業務しかIT化できない”という課題を抱えていました。自社開発によって、物件の賃貸契約にあたって発生する複数の契約書をまとめたり、入力された情報を保険会社などの外部システムに送ったりといった、従来はできなかったフローが実現でき、効率化がさらに進みました」

photo 独自開発の「カクシンクラウド」。日々の業務の成果が一目で分かる

 内田氏が3代目としてウチダレックに加わったのは16年。たった1年でここまで業務改善を果たしてしまうとは、その行動力と決断力たるや称賛に値するが、従来の社員からすればどうだろうか。今までのやり方が180度“強制的に変えられてしまった”という見方もできる。

 聞くと、「当然一筋縄ではいかなかった」という。やはり――というべきか、社員からの反発に遭ったのである。

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