もう一つ、昨今の若年層の消費行動に変化が生じてきていることも、BNPLを後推している。「自分が欲しいと感じるときに購入する」のか「購入に使ってよいと思える金額が貯まるまで待つ」のかを聞いたところ、20〜30代では67.2%が「自分が欲しいと感じるときに購入する」と答えた。
42.8%が「いち早く利用したいから」と答えており、いまお金があるかどうかにかかわらず、すぐに決断して購入する傾向にある。これを見ると、計画性がなく無駄遣いをしている人が増えているのでは? と思いがちだが、牛窪氏はそうではないと解説する。
「一見すると無駄遣いをしていると見えがちだが、収支を把握できている自信があるから、欲しいと感じたときに購入する」
一見、衝動買いをしているように見える消費行動だが、実は即座に購入するのは「収支を把握できている」からだという(メルペイ調査より)
実はBNPL利用者の実に71.4%が、スマホアプリやExcel、ノートなどで家計簿をつけており、これはBNPL非利用者の55.0%よりも高い。牛窪氏が言う「脳内予算」に組み込みやすいのがBNPL、利用額が分かりにくく予算が立てにくいのがクレジットカードというわけだ。
なお、家計簿ソフトといえばマネーフォワードMEだけでも1200万人以上が利用しているが、現時点ではメルカリもメルペイも対応していない。メルペイの山本真人COOは、BNPLにおいて管理のしやすさが非常に重要だと話すが、現時点では管理はメルカリアプリ内に閉じている。「現時点においては、メルペイのデータの家計簿アプリ取り込みには対応できていない。ニーズがあることは把握している。アプリの中でできることがまだまだあるので、まずはそれを徹底的にやりきる」(山本氏)
- BNPLなぜ伸びる? 日本市場特有の理由とは
世界的に大きな潮流となっているのがBNPLだ。これは、「Buy Now Pay Later」の略で、いわゆる「後払い」サービスのことを指す。BNPLはクレジットカードに代わる決済方法として、世界各国で急速に伸びているが、それはなぜか。国内BNPL市場で40%程度のシェアを持つトップ企業ネットプロテクションズによると、実は国ごとに理由は異なるようだ。
- ファミペイ翌月払い、新制度活用の狙い 公共料金や税金にも対応
ファミリーマートは9月3日、コード決済サービス「FamiPay」の後払いサービス「ファミペイ翌月払い」を9月7日に開始すると発表した。残高がなくても最大10万円まで支払いに使える後払いサービスで、利用額は利用の翌月末に指定した銀行口座から引き落とされる。手数料はかからない。公共料金や税金の支払いにも使えることがFamiPayの特徴であり、翌月払いでもFamiPayボーナスが貯まる。
- 後払いサービスペイディを、米ペイパルが買収 3000億円
後払いサービスサービスを運営するペイディ(東京都港区)を、米決済大手のペイパルが買収した。買収金額は3000億円。ペイパルは「世界第3位のEコマース市場である日本での越境EC事業に加えて、今回の買収により、国内決済市場で機能やサービスを拡充することで存在感をさらに高める」としている。買収は2021年末までに完了する予定だ。
- AI与信解禁 メルペイに聞く「何が変わるのか?」
4月に改正割賦販売法が施行され、AIやビッグデータを使った与信審査が解禁された。メルカリ子会社で決済サービスを営むメルペイは、これに対応を「AI与信」を提供する計画だ。しかし、もともとメルペイはメルカリの売買履歴データやメルペイでの決済データを用いて、与信を行っていたはず。法改正で何が変わるのだろうか?
- 後払いは「利用金額を把握しやすい」のか? 利用者と非利用者で認識ギャップ
品物やサービスを購入した際に、あとで支払いを行う「後払い」サービスの利用が拡大している。矢野経済研究所の調査によると、2022年には1兆3500億円まで拡大する見通しだ。しかし、ニッセイ基礎研究所が調査したところ、後払いの利用者と非利用者は意外な認識ギャップがあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.