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» 2021年10月12日 08時00分 公開

渋谷の一等地で、コーヒー1杯99円 なぜこのビジネスが成り立つのか?3分インタビュー(2/2 ページ)

[熊谷紗希,ITmedia]
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日常空間化することのメリットは?

――日常空間化することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

中村: 店舗への来店頻度が高まることにより、お客の属性や行動データ、興味関心などの情報を集めることができます。そうすることで、商品のレコメンド精度が向上し、より出品商品に興味を持ってもらったり、店内のディスプレイ方法などもより買ってもらいやすくするための工夫ができたりすると考えています。

 当店舗をオープンする前、2020年6月ごろに東京都江東区・住吉の住宅街で実証実験をしました。「99円でコーヒーを売っている」という看板だけを出し、アマゾンで購入した100種類程度の商品を陳列。来店したお客がどんな反応を示すか観察していました。

 最初は、入店しても得体が知れないお店に驚いて出て行かれる人もいました。しかし、1週間くらいたったころ、仕事場として活用したり、コーヒーを飲みに来たりと常連客が付くようになったんです。オープンして2〜3週間目でとうとう常連客の一人が商品を購入しました。その人は「毎日来ているうちに、だんだん気になって思わず買ってしまった」と話しました。

 今の時代、検索機能の質が高く、自分が欲しいと分かっている商品を簡単に手に入れることができます。一方で、潜在的に欲しいと思っている商品には出合いにくくなっていると感じます。その人が何も求めているか、どんな商品が気になっているのかなど来店客の情報を吸い上げ、合致する商品を店舗に置いておく。そうすることで、自然と購入につながっていくと考えています。来店を促進するエンジンとしてカフェという形態を取っているんです。

アレクサが商品の説明をしてくれる(左)、商品の試食なども展開する(右)

――来店客のデータはどのように取得しているのでしょうか?

中村: NTT東日本と連携し、AIカメラで取得しています。性別や年齢などの属性が分かるカメラ、どの棚の前に滞在したかが分かるヒートマップカメラ、どの商品を手に取ったかが分かるカメラの3つです。取得したデータは出品企業にフィードバックしています。

属性取得カメラ(左)、ヒートマップカメラ(中央)、手に取った商品を認知するカメラ(右)

――今後の店舗展開として、31年までに出店数2000と話されていましたが、かなり急ピッチだと感じています。直営店やフランチャイズなど、どのような展開を考えられているのでしょうか?

中村: 私は10年ほど商業空間コンサル業を営んできており、18年から次世代型の商業施設の在り方を提唱していました。もはや当たり前ですが、今は人が移動せずに商品を買うことができる時代です。そうすると、人が来店することを前提に作られた百貨店やデパートなどに入るテナントが減っていきます。実際、コロナ禍でその勢いは加速しました。

 エイゼットエルエム・コネクテッド・カフェは、百貨店や電鉄会社が持っている空間に出店する、フランチャイズ展開を目指しています。この店舗は15坪ほどの小さいカフェですが、今後は百貨店の1フロア貸切なども含めて展開していきたいと思っています。

 車とか大型の商品もどんどん置いていきたいですね。


 【記者メモ】

 利便性の高さやコロナ禍によって、ほとんどの買い物をECで完了させてしまう動きが広がっていると感じる。リアル店舗は、商品を買う場所ではなく「体験の場」として位置付けられ、「売らないお店」「店舗のショールーム化」など小売業界のDX化が目立つ。

 目新しい面白そうな商品が並ぶお店がオープンすれば話題になり、来店客が押し寄せるだろう。その後は、継続して来店してもらうモチベーションをどう醸成していくか、それが売らない店舗に求められていくことかもしれない。

(終わり)

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