フィンテックで変わる財務

米国のFintechはどうなっているの? 新しいサービスに共通点あり銀行と連携(3/3 ページ)

» 2021年10月22日 08時00分 公開
[中山悠介ITmedia]
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事業戦略に注目

 プレイドが銀行とFintechサービスを結びつけることで、米国ではさまざまな革新的なプロダクトが生まれています。Visaがプレイドの買収を目論んだように、プレイドは次世代のFintech経済圏の中で、中心となりうる立ち位置にあります。

 また、プレイドだけでなく、銀行サービスのAPIハブという新しい立ち位置を狙う企業はほかにもあります。例えばGalileo(ガリレオ)は20以上の銀行とAPI接続しており、プレイドと同じように銀行口座開設、カード発行、ACH/Wire送金(米国国内外への送金)などを行えます。

 Marqeta(マルケタ)はデビットカード/プリペイドカードを発行することのできるAPIを提供しています。さまざまな新興企業がマルケタのAPIを利用することで、ユーザーに簡単にカード発行をすることが可能となります。

 マルケタは21年6月にナスダック上場し、その財務状態が明らかになりました。売り上げは順調に伸びているように見えるものの、Fintechサービスの重要KPIであるTake Rate(決済取扱金額から得られる売上比率)は下降傾向にあることが分かります。顧客であるFintechサービスが成長すればAPIゲートウェイとしても規模が拡大する。しかし、同時に強大化するFintechプレイヤーからの値下げ圧力が強くなるというビジネス構造であることが分かります。

 APIゲートウェイはこの顧客成長に伴う収益率圧縮のトレンドの中、どのような形で成長をしていくのか。今後のFintechトレンドを考える上でも彼らの事業戦略は注目です。

著者プロフィール:中山悠介

 三井物産株式会社、ボストン コンサルティング グループを経て、2017年にGMOペイメントゲートウェイ株式会社に入社。現在は、企業価値創造戦略統括本部、経営企画・新領域創造部 部長

 Fintech領域における革新的ビジネスの企画・創出がミッションの一つ。次世代ビジネスの種まきのため、社内での新規事業インキュベーションだけでなく、M&A、スタートアップ投資、大手企業とのアライアンス構築など幅広く活動している。趣味は博物館、水族館、科学館などの「館」めぐり。

 埼玉県立浦和高等学校、京都大学経済学部卒


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