国内初、未上場株をオンラインで売買できる「ファンディーノマーケット」の狙い金融ディスラプション(2/2 ページ)

» 2021年10月26日 16時10分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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当初3社ほど 「丁寧に拡大する」

 当初、ファンディーノで資金調達した企業から、3社ほどの銘柄を対象とする。企業が株主コミュニティへ登録するにあたっては、有価証券報告書の提出義務などは緩和されているが、東証への上場ほどではないが審査がある。

 今後、ファンディーノを利用する企業以外にも門戸を広げる考えだ。企業はファンディーノマーケットに登録すれば、「IPOを目指さなくても、株主コミュニティを通じて資金調達を行えるようになる。お金の集め方から変わってくる」(柴原氏)。また、ベンチャーキャピタルなどの投資家がIPOを待てない場合も、ファンディーノマーケットに企業が登録すれば、未上場のまま持ち株を処分できるようになる。

今後の展開として、企業はファンディーノマーケットを通じて、私募を使った大型調達も可能になる可能性がある。従来の株式投資型クラウドファンディングでは、調達金額が年間1億円に制限されていた

 さらに、事業継承の分野でもニーズがあると見る。分散している株主から、ファンディーノマーケットを使って株式を買い集めることもできるからだ。

 同社は、海外に比べてベンチャー企業が資金調達を行いにくいことを課題とし、リスクマネーの供給を増やすことをミッションに掲げている。2017年のサービス開始以来、ファンディーノを使って資金調達を行う企業は倍々で増加しており、調達額は20年度に15億円、21年度は30億円に達する見込み。参加する投資家も順調に増加しており、すでに8万人以上が登録している。

未上場企業へのリスクマネーは、従来複雑な経路をたどっていた。家計からダイレクトに資金を供給できる道筋を作るのが、ファンディーノのミッションだ

 ファンディーノを使って資金調達した企業は、累計で209社にのぼっている。うち4件の倒産があったものの、5件はIPO、相対取引での株式買い取りなどによりエグジットに達し、投資回収にいたった。

 投資家の視点では、セカンダリーマーケットが登場することで、企業がIPOしたりM&Aされたりするのを待たなくても、株式を売却することで換金できるようになるため、投資しやすくなる。

 当初は、参加する企業の審査料も取らず、未上場株式の売買手数料も無料とする。「急激に拡大というよりも、丁寧に丁寧に進めていきたい。参加者の信頼を高めることを大事にしていきたい」と、柴原氏は話し、未上場株式のマーケットを根付かせることを重視する姿勢を示した。

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