データセンター事業を中心にインターネットサービスを提供する、さくらインターネット。コロナ禍でリモートワーク前提の働き方となった影響で東京支社を半分に縮小。大阪本社も、面積が10分の1の新オフィスに移転した。
総務部を中心に多くの手間と時間を割いて実現した“オフィス再構築”だったが、これで終わりではないという。オフィスの縮小・移転はあくまで現時点でのベストに過ぎない「通過点」と捉えており、今後の構想は尽きないようだ。
将来的には、どのようなオフィスを目指していくのか? 質問したところ、取締役の前田章博氏からは、あくまでアイデアの1つだというが「路面店のようなオフィス」という言葉が飛び出した。前田氏と総務部部長の中川幸造氏、総務部情報システムグループのユウ昌日氏にさくらインターネットが考えるオフィスの今後について話を聞いた。
さくらインターネットでは、今後もオフィスをコミュニケーションによるコ・クリエーション(共創)を生み出す場として再構築し続けたいと考えている。中川氏は、同社の重視している価値観に触れつつ、次のように語る。
「さくらインターネットが重視している価値観の一つが、成長すること。それは当社や当社社員だけでなく、ビジネスパートナーや当社のユーザー企業も対象になっている。
成長を実現する入れ物が本社や支社のオフィスだと思うので、今を通過点として、今後もオフィスの再構築を続けていき『あそこなら面白いことを一緒にできるかも』と、気軽に来ていただけるような場所づくりをしていきたい」(中川氏)
また、前田氏も「企業の成長に欠かせないのが、昨今取り沙汰されているDX。インターネットサービスを取り扱う会社としてできることがあるはずだ」と言う。
「フランクにお声がけいただける場所を作ることで、お互いに情報交換できるし、場合によっては困りごとの原因も分かるかもしれない。いわば、本社や支社のオフィスは、成長していきたいという思いを実現するための入れ物なのだ」(前田氏)
この10月に本社オフィスを移転したばかりだが、「通過点」というユウ氏の言葉を裏付けるように、前田氏は「現時点でのベストに過ぎない」と言う。
「エレベーターを使う必要がある11階というロケーションは、フラッと立ち寄るには不向き。極端な話、路面店のような場所に開いてもいいのではないかと考えている。もっとも、そうなったらもう“オフィス”とは呼ばれないようなものになっているかもしれませんが(笑)」(前田氏)
路面型オフィスについてはアイデアの段階に過ぎないが、さくらインターネットの理想を体現する一つの形だといえよう。そんな同社がこの度実施したオフィスの縮小・移転は、どのような意図のもと行われたのか。
リモートワーク前提の働き方へ転換したことから、東京支社オフィスは退縮し、また大阪本社オフィスは10分の1のフロア面積へ縮小するなど、オフィスの再構築を図った。コロナ禍が明けたとしても、現時点では、オフィスを拡大あるいは縮小する方針はないという。
その理由として「今後も原則としてリモートワークで業務を行うという方針に変わりはないことが一点」と中川氏。また「オフィスを持つ目的が業務を行うためというだけではなく、どれほどコミュニケートしやすいかということから考えても、コロナ禍の収束によりオフィスをどうこうするということはない。コロナに関係なく、人が集まれる状況になったら、すぐにでも新オフィスのコミュニケーション機能を稼働させたい、というのが私たちの意思」と付け加えた。
ユウ氏は「むしろ、これは通過点」と言う。
「総務部としては、いっぺんに終わらせてしまったほうが楽ではあるんですが、実際は“再構築中”。最終的に人流があり、自然と人が集まって交流できる場所に移るために、いくつかのステップを踏まないといけない。だから、現時点でベストな場所へ移転する、というのは私たちの価値観として外せないと考えている」(ユウ氏)
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