フェイスブックの社名変更に勝算はあるか世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2021年11月04日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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メタに勝算はあるか

 こうみると、フェイスブックも起死回生、という意味合いがあったことを前面に出すやり方のほうがよかったのかもしれない。だがザッカーバーグは、最近の同社への批判の噴出は、社名変更には何ら関係がないと述べている。「そうつなげたい人たちがいると思うが、ちょっとばかばかしい話だと思う。それどころか、この状況は新しいブランドを発表する状況ではないと思う」

 実は、既に少し前から決めていたために変更予定を動かせなかったのではないかとの見方もある。ザッカーバーグは、インスタグラム(12年買収)とWhatsApp(14年買収)を手に入れてから、名前変更はずっと考えていたという。それで21年のはじめに、いよいよ時が来たと結論に至ったと語っている。

マーク・ザッカーバーグCEO

 とはいえ、現実には今回の騒動より前から評判は落ちている。ビジネスの見通しもあまりよくなかった。だからこそメタバースに賭け、社名も変更する方向で進んでいた。そんな中で、今回の騒動が噴出したというのが正直なところだろう。

 しかも新社名を発表したのが、ザッカーバーグも認める通り、スキャンダルのど真ん中であることは不安材料だろう。この名称変更に勝算はあるのだろうか。少なくとも、そのタイミングは最悪だったと言わざるを得ない。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル


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