小田急電鉄は11月8日、2022年春からICカードを使った小児運賃を一律50円にすると発表した。同日、発表した小田急線沿線における子育て応援ポリシーの施策の一環として盛り込んだ。同社によると、小児運賃(IC利用)を大人の半額以下に一律低廉化するのは、鉄道業界初の取り組みだという。
小児運賃は6歳から12歳未満の子どもと小学生が対象。最も長い新宿から小田原間(445円)に乗車した場合、単純計算で約9割引きになる。その他、小学生を対象に1日100円で全線乗り放題にし、同社グループの商業施設を利用したイベントを開催するなど、子育て世帯向けの取り組みを強化する方針だ。
小田急がこうした取り組みを進める背景には、沿線の少子高齢化がある。同社の担当者は「コロナ禍以降、地方移住が注目を集めており、現在はどうなっているか不明」と前置きした上で「沿線自治体の人口を見ると、神奈川県西部の自治体では人口減少・流出が進んでいた傾向があった」という。「小田急=子育て世帯にやさしい」というブランドイメージを浸透させ、沿線の人口定着を図る。
一律50円と言うのはかなり踏み込んだ取り組みのように思えるが、同社には別の狙いもあるという。それは沿線自治体や、企業間の連携促進だ。既に、企業間連携は一部始まっている。
例えば、ベビーカーでの電車移動が負担になっている利用者の存在を背景に、同社は5月以降、新宿、海老名、新百合ヶ丘の3駅でベビー用品レンタル・販売サービスを運営するBabydoor(東京都豊島区)とともに、ベビーカーのシェアリングサービスを試験的に開始。将来的な本格導入も予定している。
「われわれ1社単独ではできることが限られる。沿線全体を“面”と考え、われわれの取り組みに賛同してくれる自治体や企業とも連携し、地域全体で少子高齢化という社会課題の解決に貢献したい」(同社)
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