品谷教授は「投資家目線で発言したかった」という株の購入理由についても、懐疑的な見方を示す。田中社長は2019年3月にバルミューダの社外取締役に就任しており、約2年が経過しているためだ。こうしたことから「『今まで投資家目線で発言していなかったのか』と突っ込まれてもおかしくない。苦しい弁解に感じる」とした。
購入株の保有を続けていることについては「『投資家目線で発言したい』という発言が足かせになり、身動きがとれない状態に陥っているのではないか。今のタイミングで売ると『今後は投資家目線で発言しないのか』という批判が出てしまい、辻褄が合わなくなる。であれば、利益も出ておらず、投資家目線も忘れていない。そして減給処分という社会的制裁も受けているという状態をキープしたいのでないか」と推察する。仮に株を売却するのであれば「利益が出ないようなタイミングを見計らって売却するか、利益が出た場合は利益分を寄付するというのも一つの方法だ」と提案した。
田中社長はバルミューダの他、15年6月にオイシックス、21年6月には日本通信の社外取締役にもそれぞれ就任している。
バルミューダは田中社長に対し、過去6カ月間の役員報酬の返上に加え、11月以降5カ月間の役員報酬を100%減給する処分を下している。一見すると、厳しい処分のように思えるが、品谷教授によると「実際は、そこまで重い処分ではない」という。
その理由の一つが、役員報酬の金額だ。バルミューダの有価証券報告書によると、田中社長個人の報酬額は記載されていないものの、社外取締役4人分の役員報酬として、計2300万円を計上している。単純計算すると1人当たり600万円以下だ。
こうしたことから「田中社長の地位や立場を勘案すると、必ずしも重い処分とは言えないのではないか」と品谷教授。それよりもむしろ「“本業”であるジンズホールディングスの経営トップとしてどうするべきか、株主からの批判に備える必要があり、そちらの方がダメージが大きいだろう」との見方を示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング