自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう「リファラル採用」は、組織パフォーマンスの向上につながる――MyRefer(東京都中央区)が運営する「リファラル採用研究所」は、「採用学研究所」を運営するビジネスリサーチラボ(東京都世田谷区)との共同研究のもと、9月にリファラル採用制度を活用する企業の従業員1532人を対象にインターネット調査を実施し、こうした結果が判明した。
従属変数、個人特性、友人との関係性、会社との関係性、リファラル採用状況の各指標を分析したところ、紹介意思と関連性が強いのは「求職者を助けたい気持ち」「会社への帰属意識」「魅力的な組織イメージ」の3点だったことが分かった。
紹介行動を促す要因としては、「紹介意思」が高い人が紹介を実施する可能性が高く、会社への愛着を持っていて会社にいい印象を持つ人から巻き込めば紹介実施につながりやすくなる。休職中の知人数も関連があるため、従業員には着実に紹介意思を醸成してもらった上で、知人との継続的な連絡を促すことが必要となる。
「リファラル採用で入社した人を見た」場合も、リファラル採用に身近さを感じたり、受け入れ側の体制が整ったりすることが見受けられた。企業はリファラル採用を促すだけでなく、実際に紹介で入社した人をフォローしていくことが次の紹介につながるという。
また、紹介した社員のうち、「紹介した友人が入社していない」人と「紹介した友人が入社した」人を比べると、後者の方が会社への愛着向上が高かった。友人の入社が喜びとなり、会社への愛着が高まることが考えられる。これらを活用すれば、会社への愛着が高い人ほど紹介意思を持っていて、友人が入社することでさらに愛社精神が高まり、帰属意識が生まれるという好循環が起きることが分かった。
「紹介していない」人と「紹介したが入社していない・紹介して入社した」人の間でも有意差があり、後者のほうが「組織市民行動」(会社のためになる自発的な役割外行動)をしていることが判明した。結果的に紹介した知人が入社に至らずとも、紹介行動そのものが自発的な組織市民行動につながり、会社のパフォーマンスを向上させることが明らかとなった。
日本で労働人口不足が問題となる中、従業員の人脈を活用しミスマッチの少ない採用を実現する「リファラル採用」に注目が集まっている。人事部主導の採用活動だけでは優秀な人材を確保できなくなっている今、組織開発の観点を踏まえたリファラル採用は今後、主要な採用活動の一つとして浸透していくと考えられる。
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