人事担当が考える中高年人材の課題1位は「自律的なリスキル(学び直し)の必要性」である――法人向け統合人事システムを展開するWorks Human Intelligence(東京都港区)が、8〜9月に同システムのユーザーである国内大手54法人を対象に実施したアンケート調査で、こうした結果が判明した。本調査では45〜59歳までの正社員を「中高年人材」の対象としている。
2位は「教育・研修、学びの場の少なさ」、3位は「キャリア支援の不足」だった。「50歳以上の方に対する教育研修の機会があまりない」「ライン管理職となっている者が多く、多忙のために自己研鑽の時間が取れない」「役職定年後の管理職のモチベーション維持が課題」など、管理職で忙しく学びの時間が取りにくいほか、そもそも研修の機会が少ないことなどが課題に挙がった。
実際に、45歳以上の正社員に対してキャリア形成や学び直しのための研修制度が「ある」と回答した企業は23.2%にとどまった。自律的なリスキルの必要性に課題を感じているものの、中高年人材向けの研修制度が用意されていない現状が見て取れる。
また、45歳以上の正社員が自ら仕事を選択できるようなキャリア制度が「ない」と答えた企業は75%に達し、キャリアの複線化制度も71.4%が「ない」と回答。若手社員に向けた社内公募やコース選択制度は浸透してきた一方、中高年人材自らがキャリアを選択する制度の導入は進んでいないことがうかがえる。
周囲の社員を巻き込む課題で最も多かったのは、「スキルや知識、経験の継承」だった。「次世代の中高年層に対する打ち手」(2位)、「評価や昇格の年功化、中心化傾向」(3位)と続いた。中高年人材が培ってきたスキルや経験を継承していくような知識経営がされておらず、イノベーションにつながらないといった課題があるようだ。
2021年4月に改正された高年齢者雇用安定法で、70歳までの就業機会の確保が努力義務となった今、社員がより長く成果を出すための仕組み作りに注目が集まっている。業務の中核を担う中高年人材の活用は急務であり、全社的な重要課題として捉えていくことが求められている。
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