林: 私は「あまちゃん」以降、NHKの朝ドラを見るようになったのですが、朝ドラってだいたいパターンがあって、主人公が明治、大正、昭和と生き抜いていく中で、物がなかった時代が描かれるんですよね。みんな百貨をそろえたかったんですよ。物を手に入れることが生きている証であり、買い物すること自体、すごく楽しかったと思うんです。
例えば、ディズニーランドって楽しいですよね。おそらく入場料だけ払って園内で何も買わず、ポップコーンもご飯も食べずに帰ってくる人は少ないんじゃないかと思うんです。たくさん買って、楽しい思いをして帰ってくるじゃないですか。子どもの頃を思い返すと、私も百貨店に対して同じようなワクワク感が確かにあったんです。
でも、百貨がそろってハタと、「あれ、こんなにいらなかったかも」と気づいてしまった。それはバブル崩壊と同じタイミングだったかもしれません。2000年以降は、お客さま個別のニーズに対して解像度を高くしていかないと、商売が成り立たないという状況が生まれています。
長谷川: テクノロジーを使ってお客さんに喜んで買ってもらい、小売業を元気にするにはどうすればいいと思いますか?
林: 10年前から言われていることですが、やはりスマホ上でお客さまとの接点を作ることが不可欠です。
パルコは、14年から公式スマホアプリ「POCKET PARCO」を提供していますが、スマホ周りの技術やUI/UXのトレンドはすさまじい勢いで変化しています。3年前と今とではまったく流儀が違う。一度リリースして終わりではなく、変化に対応していかなければなりません。
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