リテール大革命

LINEミニアプリにスカウター? パルコ・H2OリテイリングのDXリーダーが語る、物があふれた時代の百貨店長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」 “百貨店の未来”編(3/5 ページ)

» 2021年12月01日 07時00分 公開
[酒井真弓ITmedia]

小山: 多くの場合、自社アプリなんて作れない、作ったもののダウンロードが進まない、使い続けてもらえないという課題もあります。そこで、スーパーアプリに乗るという手があります。スーパーアプリとは、Wechat、AliPayといった日常的に使われるアプリをプラットフォーム化し、事業者はミニアプリと呼ばれるアプリ内アプリを提供するというもので、中国やシンガポールをはじめ東南アジアで浸透しつつあります。

 日本では、LINEがスーパーアプリを目指し、小売や飲食、美容などLINEと親和性が高い事業を中心に、デジタル会員証、来店予約、テーブルオーダー、テークアウト・デリバリーの受付など、ミニアプリの提供が進んでいます。LINEの国内月間利用者数は8900万人、アクティブ率は85%に上ります。LINEを使わない手はない。

小山徹氏(エイチ・ツー・オー リテイリング執行役員)

 エイチ・ツー・オー リテイリング傘下のスーパーマーケット・阪急オアシスでも、LINEミニアプリの活用を始めています。今はお客さまの会員証として、ポイントやクーポンを提供するために使っていますが、これからどう拡張しようかあれこれと話し合っている最中です。

林: 「より良いサービスを提供するために、自社アプリでコミュニケーションを取る」という判断は今後も全然ありです。ただ、日本の人口が右肩上がりに増えていった頃の感覚で「自社アプリを作ってどんどんお客さまを増やしていこう」と思っているなら見直した方が良いでしょう。

 日本の人口はすでに右肩下がり。お客さまが減っていく中で、自分たちの店やブランドを選んでもらわなければならない。ミニアプリは、お客さまに自社アプリをダウンロードしてもらう必要がなくなる分、選んでもらうまでのハードルがかなり下がるんです。

 「ミニアプリのユーザーは自社のお客さまと言えるのか?」と言う人がいますが、この考えは間違いだと思います。例えば、これだけPayPayユーザーが増えているなら、PayPayで買い物してもらう体験を作ろうとする方が絶対に正しい。置かれた環境に応じて最適なアプローチを常に探っていく必要があります。

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