仮想通貨の代表格といえばビットコインだ。すべての仮想通貨の起源であり、最も信頼されている。しかし、2021年は絶対的王者であるビットコインが相対的に弱くなった年でもある。
21年は仮想通貨全般が値上がりした。10月にはビットコイン価格が770万円に達し、過去最高を更新している。その一方で、仮想通貨全体に占めるビットコインの比率をみると、減少傾向にあった。
仮想通貨全体の時価総額に対し、ビットコインが占める割合を見てみよう。CoinMarketCapのデータによると、足下でビットコインの比率(ドミナンス)は50%を割り込み、ほぼ40%といったところだ。一方で、イーサリアムの時価総額に占める比率は増大しており、21.7%に達している。
ビットコインの時価総額に対する比率(ドミナンス)の推移(ConMarketCap)
この背景には何があるのか。1つは法定通貨と価値が連動するステーブルコインの普及だ。米ドルに連動するステーブルコインの2大巨頭である、USテザーとUSDコインは順調に発行額を拡大し、時価総額ランキングでUSテザーは第4位、USDコインは7位についている。
しかし最も大きな変化は、ブロックチェーン上でプログラムを動かすプラットフォームとしての仮想通貨の躍進だろう。その代表格であり時価総額で2位につけるイーサリアムは、11月に過去最高値を更新し、年初からは499%の価格上昇を見せた。これは72%しか上昇しなかったビットコインを大きく上回る。
同様に、イーサリアム対抗のブロックチェーンとその仮想通貨が大きく成長した。海外の仮想通貨交換所バイナンスが発行するバイナンスコインは、当初はいわゆる取引所トークンだった。しかし、バイナンスがイーサリアム対抗として開発したバイナンススマートチェーンで利用できるようになり価格が上昇。年初からの上昇率は1449%にも達している。仮想通貨全体の時価総額ランキングでは3位まで順位を上げた。
ビットコインの72%上昇がかすむほど、プラットフォーム系仮想通貨は値上がりした(ドル建て、TradingView)
さらに2020年に誕生したイーサリアム・キラーとも呼ばれるソラナは、価格の急上昇が続き、年初からの上昇率はなんと1万150%にもなっている。歴史の古い仮想通貨を押し分けて、時価総額ランキングではすでに5位だ。
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