タピオカバブルが崩壊したのに、「ゴンチャ」の店舗は倍増 目指すは“お茶のスタバ”か?長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2021年12月15日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 コロナ禍でストリートフードが敬遠され、タピオカ店の閉店が相次いでいる。一方、そんな苦境もどこ吹く風と店舗数を伸ばしているのが、台湾茶専門店「ゴンチャ(貢茶)」だ。

コロナ禍でも店舗数が増えているゴンチャ

 7月にオープンした、セブンパークアリオ柏店(千葉県柏市)で、日本国内100店に到達。タピオカの店ではもちろん、日本初の快挙である。さらに出店を重ね、12月12日現在で113店となっている。同月24日には、エル守口店(大阪府守口市)がオープン予定。2020年3月末現在で60店舗だったので、コロナ禍で店舗をほぼ倍増させた。

 目立つのは、商業施設への出店だ。100店目のセブンパークアリオ柏もだが、それ以降に出店した場所は、モラージュ菖蒲(埼玉県久喜市)、イオンモール直方(福岡県直方市)、スマーク伊勢崎(群馬県伊勢崎市)、イーアス春日井(愛知県春日井市)、イオンモールNagoya Noritake Garden(名古屋市)、イオンモール熊本(熊本県嘉島町)、新宿ミロード(東京都新宿区)、イオンモール堺鉄砲町(大阪府堺市)、エスパル仙台2(仙台市)、イオンモール八幡東(福岡県北九州市)、小田急マルシェ多摩センター(東京都多摩市)、高崎オーパ(群馬県高崎市)、横浜ポルタ(横浜市)と、全て駅直結の商業施設または郊外型ショッピングモールであった。以前から商業施設への出店が多かったが、郊外型モールが急増している。

 その一方、15年にオープンした日本上陸1号店で、路面店だった原宿表参道店は、20年にあっさり閉店している。ゴンチャといえども、昨年は既存店売上高が前年の半分以下に激減した店も少なくないと見られるが、上手にスクラップ&ビルドを進めている。なお、日本1号店のすぐ近くに新設された原宿表参道2号店が、今は原宿表参道店として盛業中である。

ゴンチャの原宿表参道1号店は閉店した(2020年9月撮影)

 ゴンチャの店づくりも、タピオカブームの頃に多かった行列をさばく効率優先のスタンドタイプから、座ってくつろげる空間が広がるカフェへと変わってきている。

 かつて、ゴンチャでは、会社帰りや学校帰りに、流行に遅れまいと行列に並ぶお客の姿が見られた。慌ただしくタピオカを買って、歩きながら楽しむための飲料を売る店だった。しかし、20〜30代前半のトレンドに敏感な女性、すなわちF1層がゆっくりとお茶を飲んでくつろぐ店への転換を図っており、現状はプラン通り進んでいる印象がある。

 なぜ、タピオカバブルが大崩壊しているにもかかわらず、ゴンチャだけが一人勝ちして店舗を急増させているのか。ゴンチャは、タピオカ店のイメージを拭い去り、“お茶分野のスターバックス”のような存在になれるのか。研究してみた。

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