タピオカバブルが崩壊したのに、「ゴンチャ」の店舗は倍増 目指すは“お茶のスタバ”か?長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)

» 2021年12月15日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

フルーツビネガーを投入

 また、原田氏は、ゴンチャの新しいドリンクとして、韓国の果実酢「美酢(ミチョ)」を使った「フルーツビネガー」を昨年7月に導入。日本の若い女性にとって、韓国は美容大国とのイメージが強く、美容と健康を考えたドリンクとして定着を図っている。

ゴンチャのフルーツビネガー。現在、ざくろ&ストロベリーのこんにゃくゼリー入りを2種提供(出所:ゴンチャ公式Webサイト)

 原田氏は、アップルジャパン社長から日本マクドナルド社長に就任してわずか1年後、05年に「えびフィレオ」をヒットさせマクドナルド復活を印象づけた実績がある。強力な新商品がゲームチェンジャーとなり得ることを原田氏は熟知しており、フルーツビネガー発売に踏み切った。

 現状、フルーツビネガーが爆発的ヒットを記録したとは聞かないが、少なくともゴンチャが食べ盛りの女子中高生の間食ではなくて、美容と健康を気にするF1層を向いているというメッセージにはなったはずだ。

 昨年11月には、「ホットスムージー」と「ホットフルーツビネガー」を発売。温かい飲み物も楽しめる店としてアピールした。

 さらに、原田氏はゴンチャ国内店初のフードメニューとして、「彩々粥」なるおかゆを導入した。現在、同商品の販売は終了しているが、タピオカに偏り過ぎていたゴンチャの売り上げを是正しようと、努めていた。

ゴンチャで発売されていたお粥、彩々粥の1つ参鶏湯。既に終売(出所:リリース)

 周知のように原田氏は、今年2月に妻へのDV容疑で逮捕されるというプライベートな事情により、志半ばでゴンチャ社長など全役職を辞任した。メニュー改革で目覚ましい成果は出なかったものの、方向性が支持されて出店増につながった面もあるだろう。

 なお、日本アイ・ビー・エム出身でゴンチャ ジャパンCFO(最高財務責任者)の前田仁志氏が、原田氏の後任として社長を兼任していたが、10月25日に元日本サブウェイ社長の角田淳氏がゴンチャ ジャパンの新社長兼CEOに就任している。前田氏に際立った落ち度があったとは思えないが、ワンポイントリリーフだったようで、今はCFO専従に戻っている。

 前田氏が社長だった今年3〜10月、東京や大阪はずっと緊急事態かまん延防止等重点措置が発令されていて、万全の営業ができなかった。

 それでも、メニュー改革は継続されており、角田新社長就任直後の10月28日から、店舗限定でお茶に合わせるデザート「甜品(テンピン)」が発売されている。ラインアップには、横浜中華街「重慶飯店」と提携した「パイナップルケーキ(鳳梨酥)」や豆乳ドーナツの「甜甜圏」がある。また、「Sugarドーナツ」「Wチョコブラウニー」「シナモンロール」「蒸しパン(2種)」「エッグタルト(4種)」もそろえている。

ゴンチャのデザート、甜品(出所:リリース)

 過去にも別商品のパイナップルケーキなどを販売したケースはある。しかし、デザートの「甜品」として、ゴンチャが本格的に取り組むのは初めてなので注目される。

 また、飲み物でも、9月から「ティーデザート」を発売した。これは、デザートを味わうように、ゆっくりと時間を楽しむメニューだ。秋には「クリームブリュレ」、冬には「贅沢(ぜいたく)ピスタチオ」が販売されている。いずれも、ミルクフォームを使った新作で、これもタピオカ依存からの脱却を目指した提案だ。

ゴンチャのティーデザート、贅沢ピスタチオ(出所:リリース)

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