タピオカバブルが崩壊したのに、「ゴンチャ」の店舗は倍増 目指すは“お茶のスタバ”か?長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2021年12月15日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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タピオカバブルを乗り越えて

 同業他社で、店舗が激減せずに残っているチェーンとしては、クレープを販売する「パールレディ」、台湾カステラに注力している「ブルプル」、担々麺・魯肉飯・豆花といった台湾フードが充実している「春水堂」などがある。どれもタピオカ1本足ではなく、もう1つの売りを持っている。

春水堂では、22年1月18日まで台湾フェア開催中(ルミネエスト新宿店を除く)(出所:春水堂公式Webサイト)

 ゴンチャのコーヒー、フルーツビネガー、甜品、ティーデザートはどれも決め手に欠ける。しかし、コロナ禍で海外旅行を自粛せざるを得ない今、台湾に行った気分に浸れるため、一定の導入効果は出ている。また、黒糖やほうじ茶、抹茶といった日本茶も加えて、メニューの幅を広げた効果もあったようだ。おかゆは失敗してしまったが、顧客が空間提案の目新しさに飽きてしまわないうちに、タピオカミルクティーに匹敵する大ヒットが放てるかどうか。

ブルプルの台湾カステラ。カップ入りでも提供(出所:ブルプル公式Webサイト)

 昨年3月から、ゴンチャはレジカウンターで学生証を提示した学生を対象に、学割サービスを行っている。 通常460円の「タピオカミルクティー(ブラックミルクティーのパールトッピング)」を330円で飲めるようにした。このお得感が顧客離れを防いでいる面もあるが、いつまでも続けられない。

 ゴンチャが目標とする国内400店への道は険しいが、タピオカ依存からの脱却に挑む、角田新社長の手腕に期待したい。

人気のミルクティー、パール(タピオカ)トッピング。お茶の人気はブラック(紅茶)、ウーロン、阿里山ウーロンの順(出所:ゴンチャ公式Webサイト)
甜品のエッグタルト(出所:リリース)
ゴンチャのベースになる5種のお茶。お試しサイズをお得な200円で提供中(出所:リリース)
コーヒーはリッチで飲みやすい味わい。カフェオレ、黒糖ミルクカフェオレも販売(出所:ゴンチャ公式Webサイト)
ゴンチャ ジャパン新社長の角田淳氏(出所:リリース)

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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