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10年間で残業が最も減った「ホワイト業界」はどこ?月平均13.5時間(2/2 ページ)

» 2021年12月17日 07時47分 公開
[熊谷ショウコITmedia]
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残業時間が少ない業界、有給消化率が高い業界は?

 業界別で見ると、10年間で残業時間が大幅に減少したのは「建築、土木、設備工事」「コンサルティング、シンクタンク」「放送、出版、新聞、映像、音響」「広告代理店、PR、SP、デザイン」「不動産関連、住宅」。いずれも10年前は60時間以上の平均残業時間だったが、10年で30時間以上減少している。

 21年の残業時間が最も少なかったのは、「ファッション、アパレル、繊維」の13.5時間で、次いで「旅行、ホテル、旅館、レジャー」の16.1時間、「小売(百貨店・専門・CVS・量販店)」の17.5時間となっている。

 清水建設の女性社員からは「働き方改革に熱心に取り組んでおり、5年前と比べて風土も変わった。しかし、他産業と比べると残業時間は長く、特に現場ではその傾向が顕著。業界全体で働き手の確保や契約内容の改善をすすめているが、さらなる推進が求められる」といったコメントが寄せられた。

 博報堂の男性社員からは「私が入社した10年前は、いわゆる激務が常態化していたが、昨今の働き方改革によって会社全体としては大きく改善し、ワークライフバランスも取りやすくなった。しかし、一部のチームでは、まだまだ昔のような状態が続いている。これは、得意先のスタンスにもよるため現場努力だけでは完全な解決は難しいと思われる」などの声もあった。

業界別、月間平均残業時間の推移(出所:リリース)

 10年間で有休消化率が大きく上がった業界は「証券会社、投資ファンド、投資関連」「建築、土木、設備工事」「不動産関連、住宅」「小売(百貨店・専門・CVS・量販店)」。10年前は2〜3割の有休消化率だったのに対し、大きくポイントを上げた。

 21年に有休消化率が高かった業界は「通信、ISP、データセンター」「コールセンター、業務請負」「自動車、自動車部品、輸送機器」で、いずれも7割を超えている。特に通信と自動車業界は10年前から6割以上の消化率で、さらにポイントを上げている。

 大和証券の女性社員からは「年休は本当に取りやすい。最低限取得する日数については上司から促され、取ることができる。曜日も自由である。また通常の有休に加え、夏季休暇や、運動会などの子どものイベントがあったときに別で取れる休暇、親の長寿祝い休暇などもある。休んだぶんがんばろう! という社風である。体調を崩し何日か休んだこともあるが、柔軟に対応してもらえる」といった口コミがあった。

 鹿島建設の男性社員は「有給5日取得についてはほぼ強制的に実施される。加えて記念日休暇や他の独自の休暇についても、必ず取得させるよう強い指示が管理部門から現場の幹部クラス宛にきているようで、上司指示で無理やり休暇を取得する場面もある。全体的に休暇を取りやすい環境である」とのコメントを寄せていた。

業界別、有給消化率の推移(出所:リリース)

 調査は、回答時現職の社員による残業時間34万2737件、有休消化率34万6506件のデータを集計対象とした。業界別平均は各年50件以上の回答がある業界に限定している。集計期間は12年1月〜21年11月。

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