不正転売について考えてみたどのように転売ヤーにとっての魅力をなくすか(1/5 ページ)

» 2021年12月18日 11時00分 公開
[ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所

本記事は、ニッセイ基礎研究所「不正転売について考えてみた」(2021年12月8日掲載、著者:生活研究部 研究員 廣瀬涼)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。※廣瀬氏の「瀬」は正しくは「頁」ではなく「刀に貝」。


要旨

 2021年11月22日、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリとテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を運営する合同会社ユー・エス・ジェイは、「マーケットプレイスの共創に関する覚書」を締結した。この協定では、両社が商品情報や発売情報を事前に共有し、特定の新商品発売前後の注意喚起や権利侵害品対策などについて連携し、より安心・安全に取引ができる環境を構築することが目的となっている。

 現代市場においてメルカリをはじめとする「二次流通業者」の存在感は大きなものとなっている。二次流通業とは、オークションやフリーマーケットで中古品を販売するビジネスを指す。もともとわれわれになじみのあった二次流通業は、消費者が一度購入したものを古物商許可を持つ業者が買い取り、それを再販するというビジネスモデルであった。これには古本屋や古着屋、中古の高級ブランド品を販売する質屋やリユースストアなどが該当する。しかし、昨今では消費者と消費者の間に間接的に業者が仲介し、実質消費者間で取引が行われる「CtoC(Consumer to Consumer)」の取引も一般的になってきている。「メルカリ」や「ヤフオク!」「ラクマ」などがその一例である。

 2021年9月30日よりメルカリは「それ、新品じゃなくてもいいんじゃない?」と、新品ではなくとも中古品でも場合によっては十分に購入者のニーズを満たすことができる、といった旨のメッセージをCMで発信している。最近耳にする回数が増えたSDGs(Sustainable Development Goals)の観点からも、廃棄されるものが減り、持続可能な消費と生産サイクルへの配慮がなされ、商品が消費者間で循環されていくことは、結果的に環境に配慮した取り組みへとつながっていくのである。

 しかし、残念ながら二次流通業と消費者との関わりにはそのようなポジティブな側面だけでなく、ネガティブな側面も擁しており、その代表となるのが「不正転売」の存在である。本レポートでは「メルカリ」と「ユー・エス・ジェイ」における転売対策をはじめとした企業の転売対策の事例を取り上げる。また、消費者が不正転売品を購入してしまう背景を考察した。

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