4000万円が92万円まで減少も? 急増する“レバナス信仰”の裏に隠れた投資信託「負の側面」:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/4 ページ)
楽天証券「ついに登場!! 楽天レバレッジNASDAQ-100(愛称:レバナス)」(楽天証券より引用)
楽天証券のWebページでは、2001年から20年間3万円ずつ積立を実施した際のシミュレーションが行われている。その結果は、投資元本720万円に対して資産総額は1億9700万円と27倍まで増加している。仮にレバレッジなしで積立を行っていた場合でも資産総額は4580万円と元本の6倍以上にはなっているものの、レバレッジ型の結果と通常の投信を比較すると、前者に資金が流入するのもうなずける。
しかし、「レバナス」をはじめとしたさまざまなレバレッジ型の投資信託やETFは、本来長期投資には全く向いていない。
金融庁は6月にレバレッジ型の金融商品について正式に注意喚起を行っている。また東京証券取引所も株価指数に連動するETFのうち、「レバレッジ型」や、株式指数の逆の動きを示す「インバース型」のETFを、「高リスク商品」とみなしてETFの分類から外す方針まで示している。
長期投資を前提とした資産形成制度であるつみたてNISAからも、レバレッジ型の投資信託は除外されており、件のレバナスも当然、つみたてNISAでは投資できない。
それでもSNS上では「老後資金」を手っ取り早く用意するためであったり、少ない元手で「FIRE(経済的自立と早期リタイア)」を実現したりするために、貯蓄の大半をこのような金融商品に注ぎ込むいわば“レバナス信仰”ともいうべき現象が起こっており、顧客が商品性を誤解した状態で運用を続けている可能性がある。。
足元では株価が連続で高値を更新しているため、レバレッジのポジティブな効果がクローズアップされているが、運用終了と株価の下落局面が重なると、顧客資産の大幅な減少をもたらすリスクがある。そんな「レバレッジ型投信のリスク」を確認していこう。
- S&P495で分かる ブーム化する「米国株投資」に隠れた”歪み”
SNSにおける米国株ファンの発信や、初心者向けの米国株投資本の出現などによって、日本の個人投資家にとっても、米国株投資が近年一層身近な投資体験となっている。しかし、S&P495とS&P500、そしてGAFAMを比較すると、「米国株がコロナからいち早く立ち直った」という触れ込みの”ウソ部分”が分かる。
- 岸田首相も同調した「自社株買い規制」、実現すれば明治時代に逆戻り?
“株もたぬ首相”、岸田文雄氏による金融市場のへ締め付けがとどまるところをしらない。岸田氏は14日の衆議院予算委員会において、企業が実施する自社株買いの質疑応答の場面で「自社株買い規制」を「重要なポイント」としたうえでガイドラインの制定に言及した。
- 日本の金融所得税、実は庶民にとっては世界屈指の重税
岸田文雄総理は、金融所得課税を当面の間は引き上げない方針を述べた。この「当面」という言葉尻をとらえると、じきには増税するということになる。しかし、足元でささやかれている一律25%への増税は、本当に必要なのだろうか。実のところ日本は、我々一般人にとっては金融所得税がとても重い国でもある。増税するにしても制度設計から抜本的に見直す必要がある。
- リーマン以来の脅威? 中国恒大とは何者か
株価が好調になるとなぜか悪いニュースも飛び込んでくるものである。15日には、中国の大手不動産デベロッパー会社である中国恒大(エバーグランデ)の子会社が、1億4500万ドルに及ぶ金融商品の保証義務を履行できなかったとして中国の投資家の間で不安が広がっていることが、複数のメディアを通じて報じられた。
- 小学生も株式投資? ベテラン投資家の脳裏によぎる“ライブドアのトラウマ”
コロナ禍を機に投資デビューを果たす人々が急増している。ただでさえ資産運用を行っている人の比率が高い米国においても、コロナ禍で数百万もの潜在口座を掘り起こしたと考えると、足元の投資ブームは世界的な動きだ。ただし、景気に波があるのと同様に、株式市場にも波がある。いずれ来るであろう急落への注意が今後求められてくるのかもしれない。この記事を執筆している9月23日は靴みがきの日であるという。この「靴磨き」という言葉は投資とゆかりの深い言葉だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.