その補助金を受け取った中小企業と、受け取っていない中小企業の生産性が3年間でどう変わったかを、RIETIが調べたところ、驚きの結果が出た。
『統計的に有意な差でないものの、補助金を受けた事業のほうがむしろ年平均の伸び率が5ポイント以上低かった。少なくともプラスの効果はみられなかった』(日本経済新聞 20年11月13日)
なぜこんな皮肉なことが起きるのかというと、これは“バラマキ型補助金”であることが関係している。この補助金は、生産性向上を目指す計画がしっかりとしていると評価されれば受け取れるのだが、「補助金を受け取ったあとで計画を達成できなくても返還する必要はない。実際に未達に終わる企業も少なくない」(同上)という、かなり雑な支援策だ。
ただ、これまでの中小企業・小規模事業者支援も目くそ鼻くそである。ということは、これまで政府がさまざまな名称でバラまかれてきた補助金も、中小企業を成長させるどころか、自助努力の芽をつんで成長の足を引っ張ってきた恐れもあるのだ。
この仮説を裏付けるようなデータもある。中小企業庁の『小規模企業白書2019』の「存続企業の規模間移動の状況(2012年〜2016年)」である。
これは16年時点で廃業せずに存続している事業者、295万社が、4年前の12年からどれほど、従業員を増やすなどして企業規模を拡大させてきたのかを調べたものなのだが、規模拡大に成功したのはなんと7.3万社のみで、95%(281.3万社)が「規模変化なし」だったのだ。
4年経過しても従業員を増やせていないということは、この4年間、成長することができず企業規模を拡大させることができなかったということだ。「それは政府がもっと補助金を出さないからだ!」と怒る中小企業経営者も多いが、金銭的なサポートということでいえば、中小企業向けの資金繰り支援の貸出が進んでいる。『中小企業白書2021』の中小企業向け貸出金残高の推移を見れば、08年から12年までは300兆円にも届かない水準でほぼ横ばいに推移しているが、安倍政権になった13年から途端に右肩上りで16年には320兆円まで増えている。
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