なぜ重要なのか。その話をする前に、なぜ半導体が不足しているのかに言及する必要がある。半導体不足の理由には、まずコロナ禍による工場封鎖や、リモートワークで使うデバイスなどの需要が高まったことが挙げられる。加えて、製造工場がある米国や台湾で天災が起きたことでサプライチェーンが混乱したことがある。
つまり、他国で起きる「混乱」によって、日本にも半導体不足の波が来ることになれば、自動車など国産製品の製造も滞ることになる。それはできれば避けたい。
この懸念は実はさらに大きな国際情勢における安全保障にも影響を及ぼすことになる。
米国議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会(USCC)によれば、台湾の半導体分野は、何らかの形で世界の半導体の9割に関わっているとし、「そこの動きが一年止まると、損出は56兆円になる」と指摘している。台湾の半導体が世界を不安に陥れると警告しているのである。
しかも、中国が台湾に侵攻するといった有事の場合、世界で半導体サプライチェーンの大混乱が起きる可能性がある。半導体生産の世界の中心である台湾に軍事衝突が起きたら大変な事態になる。
それほど、半導体は世界の流れを左右する火種になる可能性がある。
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