「Nintendo Switch」品薄の裏にある大きな世界情勢のうねり世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2021年12月30日 09時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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サイバー攻撃のリスクも

 中国に半導体の11%を、台湾からは33%を依存している日本もこの現実を認識しておく必要がある。さもないと、日本も混乱に巻き込まれ、私たちの生活にも多大なる影響を及ぼすことになる。

 こうした話に加えて、最近、半導体の問題にサイバー攻撃のリスクも暗い影を落としている。

大手半導体関連企業もサイバー犯罪の被害に(写真提供:ゲッティイメージズ)

 国外のハッカーに取材をしてみると、21年だけを見ても、日本の半導体製造装置を手掛ける企業、米国の半導体関連企業、台湾の大手半導体関連企業もサイバー攻撃の被害を受けていることが確認されている。実際に、インターネットの地下社会である「ダーク(闇)ウェブ」でのやり取りをみると、その深刻度が分かる。内部情報などもサンプル付きで販売されている。

 今後サイバー攻撃も半導体不足などに影響を与えかねないので要注意だ。

 Nintendo Switchが半導体不足で手に入らない現実の裏では、ここまで壮大な話が渦巻いている。これからも半導体不足の動向と、日本や関係国の動きからは目が離せないのである。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル


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