それにしても、なぜこのような商品を開発したのだろうか。その理由を紹介する前に、時計の針を20年ほど巻き戻さなければいけない。土屋鞄が自社でECサイトを立ち上げたのは、01年のこと。トートバッグや長財布などを並べていたわけだが、職人がどういった想いで商品をつくったのかといった情報がなかった。ユーザーとのエンゲージを深める意味もあって、読み物コンテンツを増やしていった。
その流れの中で、革で蝶ネクタイをつくったり、クリスマスツリーをつくったり。ネット上にその画像を掲載したところ、多くの人から反響があった。「おもしろい」「販売してみては」といった声が届いたものの、会社としては違和感があった。「蝶ネクタイやクリスマスツリーは、いわば革細工。カバンをつくる技術を生かして、遊び心が感じられるモノをつくることはできないか」と考え、スイカを持ち運ぶことができるカバンにたどりついたのだ。
完成したのは、20年7月。当初、非売品としてSNSに公開したところ、Twitterだけで1日に約1万リツイートされ、約2.8万の「いいね」がついた。「いいな、コレ」「ほしい」といったコメントが相次ぎ、社内から「販売してみては」という声があって、商品化することに。結果については、先ほど紹介した通りである。
「運ぶを楽しむ」シリーズはスイカだけにとどまらず、雪だるまを持ち運ぶことができるバッグを開発したり(非売品)、グラスが揺れないように設計されたワイングラスのバッグを販売したり。ナナメウエからの企画が相次いで登場したわけだが、個人的に気になっているのは「水切り石専用バッグ」(非売品)である。
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