「カジュアル領域で100億円を目指す」 AOKIが60万点用意した“JOYカジュアル”とは?高機能で低価格(3/3 ページ)

» 2022年01月14日 06時00分 公開
[上間貴大ITmedia]
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商圏に住むお客が“ちょうどいい”と思えるアイテムを

 接客を必要とせず、気楽さを意識したJOYカジ。こだわりがないのかといえば、そうではない。他社に先駆け、お客の好みに応じた着こなしを提案する「スタイリスト制度」を導入してきた同社だからこそ、その商圏に住むお客が“ちょうどいい”と思えるラインアップができていると胸を張る。

 例えば、汎用性の高い商品にはあえて「フード」を付けないデザインを採用した。本田氏によると、フードが付いていない商品はフードありの商品に比べ2倍近く売れるという。急な雨が降った時、サッと被れるフードは利便性が高いように見えるが、車移動が多い郊外に住む人にとっては必要がない、むしろ「邪魔」と感じる機能なのだとか。

 一方で、必要だと思う機能はきちんと追加している。「ブロックフリースジャケット」には、背中裏地部分にアルミプリントを採用するなど保温性を重視。屋外での作業にも耐えられるようにした。

 同じく、保温力を高めるためアルミ加工を施した「蓄熱アウター」(3990円)は、ECサイトでの購入が多いという。JOYカジの中では高価格帯の部類だが、本田氏は「接客を必要としない分、分かりやすいサイズ感とデザインを採用し、『保温力』という機能を明確にしたことが、ECでも迷わず選べる結果につながったのでは」と分析する。

パジャマスーツパジャマスーツ 左から「ブロックフリースジャケット」「蓄熱アウター」

 在宅勤務に“ちょうどいい”商品として人気に火が付いたパジャマスーツやアクティブワークスーツなどに比べ、目立つ存在ではないJOYカジ。しかし、店舗入り口にさりげなく取りそろえることで、近隣住民の“ちょうどいい”を満たせる存在としたい考えだ。今後は年に6回のペースで季節に応じた新商品を投入する予定だ。

 従来のAOKIの売り上げ構成は、スーツ・フォーマルが90%、カジュアルウェアが10%の割合だった。しかし現在ではスーツ・フォーマル60%、レディース20%、カジュアル10〜20%に変化している。そこで、カジュアル領域に力を入れ、将来的にはスーツ・フォーマル40%、レディース30%、カジュアル30%という構成にシフトチェンジする考えだ。

パジャマスーツ

 AOKIホールディングス(HD)の青木彰宏社長は、21年10月の戦略発表会で「『郊外型専門店のAOKI』から『いい仕事、いい生活』をサポートする『ライフ&ワークスタイルのAOKI』として独自の業態を確立させる」と今後の方針を発表している。(関連記事

 働き方が多様化する中、ビジネスウェアも境界線が無くなってきている。「ライフ&ワークスタイルのAOKI」の戦略は、ビジネス・フォーマルに次ぐ新しい需要を開拓できるだろうか。

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