温室効果ガスは意外なところから大量に発生している。例えば、使われず廃棄される食料、いわゆる食品ロスから発生する二酸化炭素は、全排出量の8%にもなるという。どうやって無駄な食材を出さないかという取り組みが、直接温暖化にも影響するわけだ。
ドイツのハローフレッシュは、レシピに応じて食材を宅配するという昔からあるビジネスを運営する会社だ。ただ、従来と違うのはITを活用して効率的に生産者と消費者を結びつけるところにある。
「昔は、今日はこのレシピと全員に同じレシピと食材が届いていた。そうすると長続きしない。ハローフレッシュでは、消費者の購入パターンや嗜好をオンラインで蓄積し、3〜4種類あるレシピの中からどれが選ばれるか需要予測を行う。これに基づいて生産者が食材を用意することで、廃棄を減らせる」(青木氏)
ドイツのハローフレッシュのWebページ
国内でも食材宅配ビジネスはあるが、生産者が作った旬の良いものを届けるという意味合いが強い。ITを活用して、使い切れるだけの量を生産するようにすれば、食品ロスが減らせるという発想だ。
売上高は37億ユーロを超えており、粗利率は6割に上る。「今期は60億ユーロには行くと思う」(青木氏)と、意外な領域で急成長を遂げている。
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