実はこの実験を行う前に、同じようなシーンを試していた。無人船は障害物となる船を認知したものの、その場で停まってしまったのだ。緊急を要する状態でもないのに、船が停まってしまうと、相手に“奇妙”な印象を与えてしまう。「このままではないけない」ということで、プロジェクトに携わった担当者は海の交通ルールに従って運航できるようにイチから見直した。例えば、2艘の船が真向いに行きかう場合、相手船の左側に通過しなければいけないなどである。
“サクラ”として登場した船に対して、無人船はどのように対応したのだろうか。結果は「成功」。想定通りの避け方をしたので、関係者は「ほっ」と胸をなでおろしたわけだが、その後、「やはり」ともいえる出来事に遭遇したのだ。実験が行われた横須賀の湾内には、たくさんの船が航行している。その日も、何艘もの船が行き交っていて、そのうちの1艘が近づいてきたのである。
この事態に対して、無人船はどのように対応したのだろうか。「無人」と言っても、万が一のことを考えて、船を操縦できるスタッフは乗船していたが、彼らが手を動かすことはなかった。無人船は近づいてきた船を認識して、海のルール通りに航行したのだ。というわけで、2つめの課題もクリアー。
3つめの着岸はどうだったのだろうか。一般的に離岸よりも着岸のほうが難しいと言われているが、スロットル(レバー)が自動で動き、問題なく到着。人間が操縦するよりもやや時間はかかったものの、大きな揺れなどを感じることなく、目的地に到着したのだ。
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