喫茶店数は30年で半減! 「純喫茶」はこのまま絶滅してしまうのかスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2022年01月25日 09時24分 公開
[窪田順生ITmedia]

新陳代謝を繰り返してきた

 行政や警察までも実態がつかめないとなると当然、それを悪用する者も出てくる。80年代に誕生した、下半身を露出したウエイトレスがいる、いわゆるノーパン喫茶に純喫茶が隠れ蓑にされるようになるのだ。例えば、テナントに純喫茶として入居しておきながら、実際はノーパン喫茶として営業をする。これを当時、「変身喫茶」と呼ばれ、ビルオーナーを悩ませた。

 「ああ“ピンク世相” ノーパン旋風に痛撃 雑居ビルで立ち退き訴訟 変身喫茶に怒る」(読売新聞 1981年5月27日)

 もちろん、経営難から自発的に業態替えをする「変身喫茶」もあった。リアルタイムで、ノーパン喫茶に通っていた、イラストレーターのみうらじゅん氏もこのように振り返っている

 「普通の喫茶店だったのに、ある日突然ノーパン喫茶に衣替えした店もありました。以前から店にいた女性がそのままノーパンでウェイトレスをやっていて驚いた」(現代ビジネス 16年12月18日)

 先ほど、1981年に喫茶店の数がピークになったということを示したが、実はこの「喫茶店15万店時代」というのは、このように「喫茶店なんでもありの時代」でもあった。つまり、15万店というのは純喫茶のみの数ではなく、今でいうところのメイドカフェ、ネットカフェなどさまざまな業態の喫茶店をすべてひっくるめた数字なのだ。

 だから、喫茶店の数が減っていくのは当然だなどと言いたいわけではない。喫茶店の世界は、このように時代によってさまざまな業態の店が生まれては消え、そしてまた違う形で復活をするという新陳代謝を繰り返してきた。現在の「純喫茶」と呼ばれるような業態がデフォルトでずっと続いてきたわけではないことを言いたいのだ。

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