金利が上がっても株価は下がらない? 「今の株価は下がりすぎ」(1/2 ページ)

» 2022年01月26日 14時05分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 日米ともに株式相場が下落している。2022年に入ってから、日経平均は7.7%下落して2万7000円前後。米国株価指数S&P500は9.1%の下落、ハイテク株の多いナスダック総合指数は14.5%も下落した。

年初からの日経平均株価、S&P500、ナスダック総合指数の推移(Google)

 背景には、ウクライナ情勢や米国金融当局のインフレ対抗姿勢があるといわれるが、実のところどうなのか。

 日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストは、「金利が上がると株価が下がる類いの話は、さほど重要ではない」と話す。本来は、政策金利の引き上げは株価には影響しないというのだ。

日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジスト

金利が上がるとなぜ株価が下がるのか

 一方で、大手新聞をはじめ各所でいわれるのは、「政策金利が引き上げられると、特に成長期待が大きいグロース株の株価が下がる」ということ。この理屈は、株価の適正値はどのように計算されるかを元にしている。

 一般に、株価はその企業が将来生み出す利益の合計だとされる。ただし、今の100万円と来年の100万円の価値は同じではない。今の100万円を金利1%で預ければ来年には101万円になる。逆にいうと、来年の100万円を現在の価値に直すと約99万円だということだ。この計算を“割り引く”という。

 こう考えると、遠い将来の利益ほど株価の算出においては影響は小さくなることが分かる。そして金利が高いほど、将来の利益の価値は小さくなる。逆に金利が低いほど将来の利益の価値は高く評価されることになる。

 これを、「今はまだ小さいけど、成長率が高く、将来大きな利益を稼ぐ見通し」というグロース企業に当てはめてみよう。グロース企業の価値のほとんどは、将来の利益だ。そして将来の事業見通しが同じであれば、金利が低くなれば現在価値は高くなり、つまり株価は上昇する。逆に、金利が上昇すれば現在価値が下がり、株価は下落することになる。

 これが「政策金利が引き上げられると、グロース株の株価が下がる」ことにつながるわけだ。

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