次に、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行する中で、リーダーにどのようなことが求められるのかを考えてみましょう。
メンバーシップ型雇用では、新卒で入社してその会社の社員という名のメンバーになれば、生涯にわたる高い処遇と引き換えにどんな仕事でも命じられれば従事する義務が生じると考えられます。リーダーである上司にとっては、部下を導きやすい環境であるといえましょう。
一方、メンバーシップを前提としたリーダーシップが通用しないジョブ型雇用に日本が移行していくと、リーダーは部下を導くためにより機敏に振る舞い、状況に応じてさまざまな行動を使い分けることが従前に増して必要となってきます。
メンバーシップ型では、社内のメンバー間で通用する暗黙の了解によるハイコンテキストな状況、いわば「あうんの呼吸」があるため、上司はメンバーに対して子細を説明する必要がありません。また、上司が多少理にかなわない命令を下したと部下が感じたとしても、メンバーであることによる高い処遇を捨ててまで上司に反発するよりは、忖度し受け入れたほうが良いと部下は考えがちになります。
雇用関係がよりジョブ型に近づけば、雇用はより流動的となり部下の多様性も増すと考えられ、社内での暗黙の了解は少なくなり、明示的な説明を要するローコンテキストの状態となってきます。
ジョブ型雇用に「向かない」企業とは? 変革すべき3つのポイント
「頑張ってさえいれば……」 ジョブ型導入を立ち往生させる“社員の思い込み” マネジャーは何をすべきなのか
ジョブ型とメンバーシップ型を融合、ブリヂストンの人事制度は“日本型のスタンダード”になるか
「米国型の血の通わないドライな制度」なのか オリンパスも導入する「ジョブ型雇用」への誤解とはCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング