山田氏が「適正価格」と強調した月額3000円という新価格。果たして、本当に「適正価格」なのだろうか。他サービスと比較してみよう。
DAZNのようなサッカーを扱うスポーツ動画配信サービスでは、代表的な競合としてスカパーの「スカパー!サッカーオンデマンド」(月額2480円)やWOWOWの「WOWOWオンデマンド」(同2530円)がある。
単純な価格比較では、DAZNの月額3000円はこれらのサービスよりも高いが、配信コンテンツ数を考えると、山田氏が言うように「競争力があり、適正価格」とする見方もできる。
ただ、サッカーコンテンツの価格という点でいえば、競合のスカパーはコンテンツの切り売りもしている。「スカパー!サッカーオンデマンド」では通常、天皇杯やルヴァンカップのような日本国内のカップ戦と独ブンデスリーガを配信しているが、海外サッカーのみの視聴を希望するユーザーに「ブンデスリーガLIVE」(月額980円)という別プランを提供。複数のプランを用意し、ユーザーに選択肢を与えている。
一部のユーザーを除き、現状、大半のユーザーに共通価格で全コンテンツを一律に配信しているDAZNにとって、スカパーの販売手法は興味深いものといえるのではないか。
他方で、値上げが明らかになって以降、ユーザーからは賛否両論の声が出ている。営利目的で値上げするのは企業の自由で「価格に不満なら解約すればいい」という意見も真っ当なものだ。
ユーザー間で賛否が分かれる中、タレントの伊集院光さんは自身の公式Twitterアカウントを更新。「DAZNすげえな、えげつないや」「他社をやっつけて、独占状態に近くなったら値上げは、もう王道のやり方なのだろう。これがうまくいかなくて、撤退なんてことになったら、焼け野原だ」(原文ママ)と投稿し、同社の姿勢に不快感を示した。このツイートには多くの反響が集まり、2000以上のいいねを記録した。
競合と比較した際に改定後の新価格が「適正価格」のように見えるとはいえ、このように値上げを歓迎するユーザーばかりではないのも事実だ。
DAZNの強気な姿勢が吉と出るか凶と出るか。DAZNが今後、価格改定以外でどのような戦略を打ち出すのか注目を集めそうだ。
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