オフィスのあるべき姿を考える際に、視点として考えられるのが、「経営としての視点」「総務としての視点」そして「従業員としての視点」の3点だ。
まず、経営としての視点を考えると、自社の業績拡大もさることながら、組織運営の維持、強化がオフィスに課せられる役割だ。その延長で経営理念、ビジョン浸透の場としても位置付けられるだろう。
次に、総務としての視点を考えてみよう。コロナ禍により、働く場が分散され、コミュニケーションの希薄化、つながり感の低下、エンゲージメントの低下、そしてメンタル不全と、組織の維持に幅広い悪影響が生じていることを目の当たりにした総務担当者としては、コロナ以前の活気のあるオフィスを再現したいと考えているのではないだろうか。感染対策のため、無理に出社する必要はないが、コロナが落ち着いたら、できればオフィスで仕事をしてほしい――このような考えを持ってオフィス改革を進めている担当者も多いはずだ。
こうした総務の傾向は、調査結果でも明らかになっている。先ほど引用したものと同じ調査内における、これからのオフィスの役割を聞いた設問では、次のような結果となった。
集団での交わりの場として、コラボレーションの場としてオフィスを捉えている総務担当者が多いことがよく分かる。集中を要するような業務、あるいは1人でサクッとこなしたいような業務であれば、わざわざオフィスに来ずとも、在宅やサードプレースでも十分こなせる、であればオフィスでこなすべきはコミュニケーションではないか――という発想であろう。
ただ、総務がよかれと思いコミュニケーションの場としてオフィスを整えたとしても、現場がオフィスに必要とする機能が違う、そうしたケースも十分あり得るのが悩ましいところだ。
実際、従業員としての視点では、働く場の選択肢が増えてきた現在において、働く場を選ぶポイントとして、最も成果が上がる場所がどこか、という点が重要になる。つまり、オフィスに行く場合は、そこにこそ行く意味がある場合に限る。このニーズは千差万別でもあり、履き違えてしまえば行きたくなるオフィスとはならず、結果として、組織の維持強化もおぼつかなくなるだろう。
では、どういうときに従業員は行きたくなるのだろうか。
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