従業員が行きたくなるようなオフィスの条件を具体的に考えると、次のようなポイントが想定される。
この中で総務が積極的にかかわれるのが、「協力する仕事があるから」というポイントだ。従業員がオフィスに来る要因として、チーム活動、コラボレーション活動が魅力的になるような仕掛けを作ってみよう。
例えば、オンライン会議をする際、リモートで3人、オフィスから3人が参加するのであれば、オフィスにいる人は各自のPCから参加するのではなく、1つのディスプレイから参加してみる。このひと工夫だけで、いつもと違う会議体験ができる。
また、オフィスをあまり作りこまないのもよいだろう。ファシリティの移動ができないような仕立てではなく、各自が自由に場所を選べて、必要に応じてファシリティを自由に動かせるフレキシブルなオフィスにするなども考えられる。とにかく、従業員にとってチーム活動がより魅力的になり、「集まって仕事をするならオフィスが最適」という認識になれば、組織維持強化も図れ、経営・総務・従業員の三方よしなオフィスにもつながるはずだ。
オフィスとそれ以外の場所を柔軟に組み合わせて働くハイブリッドワークは、今後間違いなく定着していく。そうなると、企業は従業員に最大限の選択肢を提供する必要が生じる。選択肢が少ないと、優秀な人材が確保できない、あるいは、離れていってしまうリスクがある。
また、選択肢もやみくもに作るのではなく、どれだけ従業員の意向に沿って提供できるかを考えると、現場に足を運んでぶらぶらしながら課題を見つけられる「ぶらぶら総務」が重要となってくる。従業員とコミュニケーションしながら、志向性を把握して先回りして選択肢を用意していくのだ。そして各選択肢の利用率を見ながら、取捨選択をしていき、最適化に持っていく。従業員の仕事を理解し、それに寄り添いながら、どうすれば成果が上がるのか、成果達成のためのオフィスを目指すのである。
従業員の意向に寄り添いながら、チーム活動のサポートをし続け、その集積により、組織の維持と強化を図る。そんな三方よしが実現できるオフィスこそ、総務が今、目指すべきオフィスだと思う。
株式会社月刊総務 代表取締役社長、戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、戦略総務研究所 所長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務』
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