“1本で3役”のペンが30万本以上売れた! なぜ開発したの?あの会社のこの商品(3/6 ページ)

» 2022年02月14日 08時00分 公開
[大澤裕司ITmedia]

90パターンの中から人気の高い8つを選択

 「twiink」という商品名は造語で大杉氏が発案したもの。複数の候補があったが、言葉の響きがよかったことから採用に至った。

 名前の由来は「ツイン+インク+ウインク」。ツインとインクは想像できても、ウインクまでは想像できないであろう。片方ずつ使えるところから、片目を瞬間的に閉じるウインクが連想されたそうだ。iを2つ並べたのは、2色使えることを視覚的に表現するためであった。

 完成までに要した時間は1年ほど。それなりの時間がかかったが、手間を要したことの1つが、2色の組み合わせを決めることだった。

 2色の組み合わせを決めるに当たって、90パターンから40パターンに絞り込んだ。絞り込みは大杉氏が行い、似通った色の組み合わせや人気が出そうにない組み合わせを除外している。

 その後、女子中高生を対象としたWebアンケートを実施し、40パターンの中から好きな組み合わせを選んでもらって人気のあるものを抽出。この結果からさらに人気のある組み合わせを絞り込むため、社内の女性社員を対象に好きなものを選んでもらった。その結果を基にして選ばれたのが第1弾で発売された8つであった。

 8つの色の組み合わせは「ピンク×ライトブルー」「ピンク×グリーン」「グリーン×バイオレット」など。事前に決めていた「レトロポップ」というテーマに合う組み合わせを採用した。

 また、今でこそ各色単独で使えることをうたっているが、開発スタート時は2色同時に使うことのみ想定しており、途中から各色単独でも使えることが分かったという。

 そのことに気付いた理由は、20年12月に発売された同社商品「Ninipie」(ニニピー)にあった。「Ninipie」は1つのペン先にマーカーと水性ペンを一体化したもので、持ち変えることなくどちらか一方を利用できるのが特徴。「Ninipie」を見て「twiink」でも同じ使い方ができることに気がついた。

「ninipie」のペン先。1つのペン先にマーカーと水性ペンを一体化した

 各色単独でも使えるので、使い方によっては片方のインクが早く減る。社内でも、使い方によっては片方のインクが先に減り2色同時に使えなくなる可能性があることを指摘する声があがった。

 片方のインクが先になくなったら、「仕方がない」と割り切ってもらうことにした。その理由を大杉氏は「ユーザーは色を使い分けるよりも、同時に2色使ってくれることのほうに重きを置いてくれると考えたから」と話す。

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