飛行機に搭乗したとき、ライフベスト(救命胴衣)を目にしたことがある人も多いはず。なにかあったときのために常備しているわけだが、なにかったときにきちんと使えなかったらいけないので、定期的に廃棄しているのだ。その数は、年2000着ほどになるという。
しかし、世はサステナブルに敏感である。整備士から「このまま捨てるのは、もったいない」「なにか使い道はないのかなあ」といった声があって、捨てる予定だったライフベストを使ってポーチをつくったのだ。価格6380円で販売したところ、想定を上回る注文が入ったので、販売を一時停止する事態に。用意していた1000個は、1週間ほどで完売した。
二匹目のドジョウを狙うというわけではないが、次に目をつけたのが「部品」だっのだ。売店やECサイトなどで販売するのではなく、整備士から「カプセルトイで売ってみるのはどうか」という提案があって、動き始めた。
とはいえ、肩書は「整備士」である。飛行機が安全に飛ぶために、点検・点検・点検をしている。不具合などを見つければ、修理・修理・修理である。機体を支えるスペシャリスト集団は、どうやってカプセルトイの販売を行ったのだろうか。JALエンジニアリングの矢田貝弦さんに聞いたところ、「誰にを何を話せばいいのか。どんな契約を結べばいいのか。どこに置くことができるのか。右も左も、全く分からない状況でした」と振り返る。
対外的なことだけではなく、社内調整にも時間がかかったという。飛行機の部品をカプセルトイで販売することを伝えても、社内からは「そんなこと本当にできるの?」「捨てるモノを誰が買うの?」「500円で売れないでしょ」といった指摘があったのだ。
社内調整に時間がかかって、冷ややかな声を耳にする。慣れないことの連続だったので、相当なカロリーを消費したそうだが、カプセルの中に入れるモノ選びも難航した。
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