2年以上に長引くコロナ禍の影響は、人々の生活様式を変貌させた。それはビジネスパーソンの働き方もしかり。「働く場所=会社のオフィス」が当たり前だった世界は消え、テレワークが浸透した現代では、オフィスだけでなく自宅、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェに至るまで“働く場”は多様化している。
この連載では、“働く場”の再定義が余儀なくされた現代において会社がどう対応するべきか。先進的な取り組みを行う企業を紹介していく。
今回訪れたのは「point0社」。同社のpoint 0プロジェクトの一つとして東京都千代田区で運営する「point 0 marunouchi」は、さまざまな企業が実証実験を行えるコワーキングスペースだ。
前編「ダイキンやパナが集まって実験を続けるコワーキングスペース point0が目指す快適な“働く場”とは?」では、プロジェクトの発足の経緯からビジネスモデルまで話を聞いた。後編では、引き続き石原隆広社長に、今後のビジョン、思い描く未来の働き方まで話を聞く――。
――2020年秋にはコロナ禍も相まって大阪・千里地区にサテライトオフィスも開設しました。そのあたりの経緯についてはどう考えていますか。
石原: コロナの影響で20年2月頃から大企業で在宅ワークが始まりました。それで興味深かったのが「point 0 marunouchi」の稼働率が水曜日だけ非常に高かったことです。
利用者に話を聞くと、「今までオフィスに週5日で出社するのが普通だったので、在宅での仕事は月火と2日で疲れてしまう。水曜に気分を変えるために来るんだ」と話していました。その後、木金は家で仕事をして土日にリフレッシュして、翌週の月火はまた頑張るというサイクルですね。その後、緊急事態宣言の発出もあって施設自体も閉めました。
コロナはその後も収束せずに、政府が緊急事態宣言を延長しました。その頃に私自身も「これは世界が本当に変わるぞ」と考え始め、真剣に今後の働く環境について考えだしました。
――水曜日だけ人が増えるというのは興味深いですね。なぜ家だとそこまで集中できないのでしょうか?
石原: 例えば1人暮らしのビジネスパーソンは、ワンルームに住んでいる人が多い。そうするとオフィスで使用しているような大きな机や椅子をスペース的に置けません。その一方で、家族がいて戸建て住宅に住んでいる人も、子どもがうるさくて仕事に集中できないといった弊害が起きます。
そう考えた時に、オフィスには行けないが、家より快適に働ける、いわゆるサードプレースとなる“場”を提供すればいいのではないかと考えました。それに賛同してくださる企業がいて、実現したのがサテライトオフィスです。
サテライトオフィス事業は、ディベロッパーなどのパートナー企業と連携して進めています。今年度で全国9カ所まで増える予定になっています。来年度以降も増やしていく計画で、パートナー企業もそれに伴い増えていくと思います。
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