リテール大革命

しゃぶ葉やガストが導入する「配膳ロボ」の実力は?  最先端、中国のロボット事情ロボットの活用事例(6/6 ページ)

» 2022年02月23日 08時18分 公開
[小林香織ITmedia]
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大手は体験価値の低下、中小はコストが課題

 配膳ロボットの普及具合を尋ねてみると、中国では海底撈火鍋、呷哺呷哺(Xiabu Xiabu)の2つの大手火鍋チェーン店、重慶江北国際空港、自動車メーカー・BYDのディーラー店舗、シェラトンホテルなど、大手企業を中心に少しずつ導入が広がっているという。一方、日本での普及は、まだまだこれからのようだ。

 「日本では、横浜中華街の中国料理店、招福門でキーンオン・ロボティクスのT5という製品を2台、導入した実績があります。食べ放題フロアでは、最高で1日5000皿分を配膳しており、アルバイト社員の採用や教育にかかるコストや時間の削減、顧客の体験価値の創出に期待があるようです。現状、配膳ロボットへの問い合わせとともに、実装されていない機能へのリクエストが増えていますが、多くの企業は導入を検討している段階のようです」(露木氏)

マーケティング効果が見込める大型ディスプレイ付きの配膳ロボット

 導入が進まない理由として、「大手では接客面でのホスピタリティが失われてしまう、顧客に動揺を与えてしまうといった体験価値の懸念があり、中小ではコスト的に厳しいという声がある。根本的にロボットの認知が低いのも課題だ」と露木氏。

 現状の製品は、飲食店の制服を装うなど外観のカスタマイズはできても、コミュニケーションに独自性を持たせるようなカスタマイズはできない。今後の国内外の普及状況とともに、機能の進化も気になるところだ。

 掃除ロボットのヴィゴーは、中国では1000台程度の導入実績があり、深センを中心に駐車場や公園などで稼働しているという。中国では、5Gの通信環境で動作しているそうだ。

 「日本での導入実績はまだありませんが、現在、大手2社が導入を検討しています。1つは、団地と団地の間の通路を掃除する用途、もう1つは納品前の自動車の保管場所(野外)を掃除する用途です。22年中に国内で導入されることを期待しています」(岸本氏)

写真提供:テクトレ社

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