私たちの日常に新型コロナウイルスが入り込んでから、暗闇の回廊を歩くことを余儀なくされた航空業界に「光」が戻りつつあります。
2月18日、JALは、2023年度入社の新卒採用を実施すると発表しました。ANAグループも昨年末に、グローバルスタッフ職(旧総合職)の新卒採用を3年ぶりに再開すると発表していたので、大手航空業界に、やっと、本当にやっと、日常が戻ってきました。
一方、キャビンアテンダント(CA、客室乗務員)については、JALが22年度卒業見込みに加えて、20年度と21年度の卒業生も対象にするとしたのに対し、ANAグループでは、ANAとエアージャパン、ANAウイングスの3社の採用は見送り、ピーチ・アビエーションの採用を実施するか否かの検討を進めているそうです。
今回の両社の経営者の決断により、コロナ禍で悲しい思いをした学生(あるいは元学生)たちに閉ざされていた扉が開いたことは、本当に良かったと心から思います。
個人的な話で申し訳ないのですが、私自身、学生時代に国際線のCAに憧れ、国際線就航して間もないANAに入社したCAでした。なので、今回の発表は率直にうれしい。なにせ、キャリア志向がみじんもなかった私が今も働き続けているのは、「JALに追い付け! 追い越せ!」と社員一丸となって頑張っていたANAの先輩たちに出会い、働く楽しさを知ったからです。
研究者になり、企業研究を始めてからも、常に私の脳内にあるのは「あの頃のANA」です。組織論やキャリア心理学などさまざまな理論を学べば学ぶほど、「ああ、あのときの経験が〇〇か〜」といった具合に、当時の記憶がよみがえりました。
つまり……、経営者がどんな経営をするかで、「一社員」の人生が変わるのです。
とはいえ、世界情勢や社会の動きの影響をダイレクトに受ける航空業界は、これまでも苦難の連続でした。その影響の度合いは、現場の最前線である「客室乗務員」の採用に、これまたダイレクトにつながっていました。
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