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暗いコロナ禍に差した「光」 ANAとJAL、生き残るためのヒト投資河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)

» 2022年02月25日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

 例えば、私が新卒の頃はCA=正社員が当たり前でしたが、1995年には契約社員制度がスタートします。

 バブルが崩壊し、本格的に日本経済が衰退を迎えていた中(住専破綻は95年、長銀破綻は98年)、94年8月初旬、JAL、ANAともに「コスト削減」を目的に、翌95年からの契約制客室乗務員の採用計画を発表したのです。

CAの非正規化が計画された90年代半ば(提供:ゲッティイメージズ)

 しかし、人の命を預かるCAを非正規化することに、当時の亀井静香運輸大臣が、「安全上問題がある」として、計画に待ったをかけた。そこで、産業全体で非正規が拡大する中、JALが「契約社員を採用した3年後に、正社員に切り替える」と決め、ANAもその方針を追従します。

 その後、JALは2010年1月に経営破綻し、2兆3000億円という事業会社としては戦後最大の負債を抱えて、会社更生法の適用を申請しました。早期退職募集などで、パイロット、CA、地上スタッフなど約1万6000人以上が会社を去り、12月には整理解雇予告を通知。パイロットとCAの計165人が解雇されました。

 かたや、一強時代を迎えたANAは、13年8月に客室乗務員の約4分の1を占めていた契約社員の採用制度を廃止し、約20年ぶりに全て正社員雇用に切り替えると発表します。この頃はすでに日本社会全体で非正規雇用が4割に迫る勢いで増えていたので、ANAの英断はメディアの注目を集めました。

 その記者会見をしたのが、私がCAの下っ端だった時の大先輩でした。そこで私は「とにかく会って、直接、お話を聞きたい!」とインタビューをお願いし、快諾いただき、あれやこれやと内情を教えてもらいました。

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