銀行が個人向けに提供する金融商品としては、投資信託やFXなどをよく見かける。しかし、なぜセブン銀行は証券サービス、つまり株式取引を選んだのか。
「玄人向けの金融商品をならべて高い利益率を上げるよりも、幅広い顧客に誰でも使えるサービスを提供するほうがいい」と中田氏。
狙いは、多くのユーザーが関心を持つサービスを使い、スマホアプリの中で継続的にタッチポイントを増やすことだ。FXよりも幅広いユーザーが利用し、投資信託よりも頻繁にアプリを開いて価格などをチェックする可能性があるのが株式取引だったということだ。
実は、銀行証券の口座連携、いわゆる「銀証連携」の観点で見ると、セブン銀行の取り組みの新しさが分かる。
従来は、銀行が証券子会社を作り、証券子会社の口座にお金を移しやすくするために、さまざまなサービスが提供されてきた。入金無料サービスだったり、必要な額を自動で入金するサービスなどだ。証券投資には、まず入金が必要であり、そのためにはコストを負担しても銀行と連携して入金を容易にする必要があったわけだ。
ところが、銀行側で証券サービスを提供すると話は変わる。セブン銀行に提供する証券インフラの開発を担当するFinatextの木下あかねCEOは、「銀行のサービスの中に証券サービスが組み込まれることに意味がある」と話す。
銀行と証券の口座を連携させなくても、銀行預金から株式取引ができる形のほうがシームレスなのは当然。そうやって投資を分かりやすくシンプルにすることで、「ユーザーの心理的なハードルを下げてスタートできると思う」(木下氏)という狙いだ。
そのため、取り扱う株式もスマホ証券的なラインアップだ。「投資を始める人にとっては数の多さがハードルになる。国内株、米国株からピックアップしたものを提供する。1株単位などの少額や積み立ても用意する」(Finatextの菅原良介サービスディレクター)
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