イオンの「最低賃金以下」問題から見える、“安いニッポン”の無限ループスピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2022年03月08日 10時11分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「2022年3月31日まで値上げしません! 価格凍結!」

 流通大手イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」の売り場には、こんなポップがいたるところに掲げられているが、よもや「パートの時給」まで上がっていなかったとは――。

イオングループのトップバリュは「価格凍結」を宣言した(出典:トップバリュ)

 3月5日、イオン九州(福岡市)が、熊本県内などのスーパーのパート従業員を地域別最低賃金よりも低い時給で募集していた、と『熊本日日新聞』が報じた。

 現在、熊本の最低賃金は821円で大分は822円。しかし、熊本のマックスバリュでは時給793円、大分のイオンでは792円と最低賃金を下回る賃金で募集がなされていたというのだ。

 といっても、イオン九州によればこれは「時給を掲示するシステムなどの更新がきちんとできておらず、チェックから漏れていたもの」だそうで、過去にさかのぼって賃金台帳を確認したところ、現実には最低賃金以下で雇用した従業員はいないという。

 「なんだよ、じゃあわざわざ騒ぐような話じゃないじゃん」とか「イオンだってそれくらいのミスはするだろ、地方紙はそんな粗探しみたいなことをしてヒマだな」と思う方もいるだろうが、筆者は日本経済を弱体化させている原因が垣間見える深刻なニュースだと考えている。

 それはひとことで言ってしまうと、「安さの無限ループ」である。

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