今回、最低賃金以下で募集されていた店舗は『熊本日日新聞』の指摘を受けて、すべて時給の表記が修正されたという。そこで求人サイトで確認したところ、熊本の店舗は「時給821円」、大分の店舗は「時給822円」となっていた。お分かりだろう、これらの店舗において「時給=最低賃金ギリギリ」なのだ。
実際、修正前の時給を見ると、熊本のマックスバリュは793円、大分のイオンは時給792円。これらはいずれも20年度の最低賃金である。また、『熊本日日』では熊本市内の店舗内に貼られた求人ポスターで、時給790円で夜間担当スタッフを募集していたと問題視しているが、これも19年度の最低賃金である。
あくまでスタート時の時給で徐々にアップされるとはいえ、この水準の賃金だとフルタイムで働いて、各種手当が付いても年収は200万円にも届かない。当然、家計は火の車だ。これは九州だけに限った話ではない。店舗のロケーションや夜間のシフトなどで若干のバラツキはあるが、基本的に時給はその地域の最低賃金に設定している店舗が多いのだ。
「いくらイオンでもそう簡単にホイホイと賃金を上げていたらすぐに潰れてしまう! そうなったらパートやアルバイトで生計を立てている人は失業するぞ、そんな簡単なことも分からないのか!」なんて感じで、まるで最低賃金の引き上げに反対している日本商工会議所みたいなことを主張される方もいるかもしれないが、筆者は巨大流通企業のスケールメリットを生かせば、そこまで無謀な話ではないと考えている。
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