イオンの「最低賃金以下」問題から見える、“安いニッポン”の無限ループスピン経済の歩き方(7/7 ページ)

» 2022年03月08日 10時11分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「賃上げ」に挑戦すべき

 企業からすれば、「世界屈指の安さに異常に執着する消費者」を相手に「値上げ」を宣言するなど、あまりに恐ろしくてできないというのはよく分かる。が、それを避け続けていたらいずれは、労働者の「血」だけでは済まず、企業本体まで大量の「血」を流さなくてはいけない。誰かがリスクをとって動かなければ、この「安さの無限地獄」からはいつまでも抜け出すことができないのだ。

 その先陣を切ることができるのは、イオンのように日本の雇用を支えている巨大企業だけだ。同社は「お客様第一主義」を掲げる一方で、「絶えず革新を続ける企業集団」だと自認している。

 「価格凍結」には一区切りつけていただき、これから日本経済の未来を見据えて非正規労働者の「賃上げ」という革新にもぜひチャレンジしていただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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