「セコマ」6年連続で顧客満足度1位のなぜ 大手がやらない“非効率の極み”経営本州にも店舗がある(3/4 ページ)

» 2022年03月29日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

北海道ブランドを軸にしたマーチャンダイジング

 セイコーマート店内に入ると、北海道の地名を使ったドリンクやカップ麺、北海道限定ビールや地酒、北海道産原料の酒のつまみから北海道産の米に至るまで、「セコマ」マークの北海道ブランド商品が陳列されているのが目に入ります。現在、店内の取り扱い品3500アイテムのうち、1000アイテムがセコマオリジナルという構成です。

セコマのPB商品

 セイコーマートのPB商品第1号は、95年に発売されたアイスクリームです。「北海道といえば乳製品」というイメージが強いと思いますが、その北海道ブランドイメージを活用して、アイスには特に力を入れています。安くておいしいのが特徴で北海道でも人気があるため、他のコンビニに比べて売り場のアイスの在庫量もダントツ一番です。

セコマのアイスストッカー

 セイコーマートでは90年代半ばから、海外メーカーを活用してワイン、ビール、清涼飲料水の直輸入を始めています。結果的に店内で売られるワインについては300〜500円程度という低価格を実現させています。

 また、事業持ち株会社であるセコマには数多くの食品製造・卸子会社があります。物流・総合卸のセイコーフレッシュフーズ(40年に丸ヨ西尾商店を法人化)、農産物の調達・製造の北燦食品(79年に東部食品として設立)、ペットボトルの水や氷を製造する北海道ミネラルウォーター(2004年設立)、アイスクリーム製造のダイマル乳品(02年グループ化)など20社超のグループ会社があります。最近では農業生産法人やバイオディーゼル販売会社、電気設備工事会社、情報システム開発会社など、グループの事業領域も広がっています。

 まさに、同社の垂直統合型の事業特性を示しています。「食の流通企画会社」と自社を呼ぶこともあります。北海道に根を下ろし、地域の事業者や行政とも連携し、地域に雇用を生み出し、同時にオリジナル商品を関東の有力小売業に卸すという卸販売事業にまで発展させています。

 取引先は現在200社超。当初は赤尾元会長自ら東京に常駐し、外販部隊を置いて取引先開拓や物流ルート構築をしてきたそうです。現在では卸が同社売り上げの8%ほどにまで拡大しています。食品を扱う小売業にとって北海道ブランドはのどから手が出るほど欲しいキラーアイテムですから、今後も卸比率は高まるでしょう。取引先が拡大すれば生産ロットが増えますから、原価が下がり、粗利率が高まり、直営店を多く持つ同社の収益性も向上します。

 原料から自社で調達し、必要なものを自社工場で製造し、自社のコンビニチャネルと他社流通にのせて販売する。結果的に収益性の高い商売を可能にしている点が同社の商売の大きな特徴です。

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