さまざまな呼び名を持つ、超大手ではない地方のコンビニがあります。
「セイコーマート」「セイコマ」「セコマ」――北海道No.1のコンビニ、セイコーマートです。同チェーンは顧客満足度が競合と比べて高く、圧倒的なファンの多いコンビニとして利用したことがない人にも知られた存在です。
店舗のほとんどが北海道にありながら、最近ではオリジナル商品が他の小売店に並ぶことも増えてきました。
飽和化したコンビニ市場の中でキラリと光るセイコーマートの経営を、小売り・サービス業のコンサルティングを30年間続けてきたムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸が分析していきます。
顧客満足度の最も高いコンビニエンスストアは、6年連続でセイコーマート――そんな結果が、日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が実施した2021年度JCSI(日本版顧客満足度指数)の第4回調査で分かりました。
百貨店や家電量販店など、さまざまな業種業態の満足度調査結果が掲載されているのですが、中でもコンビニ業界でのセイコーマートの存在は際立っていました。
コンビニ業界ではセイコーマート、セブン-イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ミニストップ、ローソンの6社が調査対象でした。総合結果も各指標でも、すべての項目でセイコーマートがNo.1、しかも他社を大きく引き離しての一番です。
セイコーマートだけが、なぜここまで顧客に支持されているのでしょうか。まずはセイコーマートを運営するセコマ(札幌市)の決算数値を見てみます。
同社は10年に北海道内1000店舗を達成し、16年には会社名をセコマに変更しています。積み上げた利益剰余金は168億5600万円(20年12月度決算時点)です。確実に利益をだしている優良企業といっていいでしょう。
次に、コンビニ大手企業の営業数値と比較してみます。
大手コンビニと比較するとセコマは売上高、店舗数とも見劣りします。純利益も大きいとはいえません。しかし、1店舗当たりの売上高では1億5000万円を超えています。また、1店舗当たりの日販では43万円で、ファミマやローソンといった大手に近い数字をあげています。
(新型コロナウイルスがまん延した)20年度という特殊な年ではありますが、セコマはコンビニ業界では6番目の店舗数であるにもかかわらず、純利益では3位、店舗の効率性では4位と健闘しています。
そのポイントは、「大手がやらないことをやる経営」にありました。
【セイコーマートの大手がやらない経営10の鉄則】
(1)基本的に北海道内に店舗展開をする
(2)小商圏でも出店する(人口1300人の初山別村にも出店)
(3)原料から調達する北海道ブランドのPB商品を製造・販売し、他社にも売り込む
(4)店内に厨房があり、弁当や総菜を手作りする
(5)24時間営業にこだわらない(16時間営業を原則とする)
(6)店内で10キロのお米を売る
(7)アイスクリームの在庫量、販売に力を入れている
(8)お酒とつまみの品ぞろえNo.1
(9)独自の会員制があり、会員特別値引きや景品カタログを用意(会員数510万人超)
(10)FCオーナーに裁量権を持たせ、エリアや店舗独自の販促も実施可能
この中から3つのポイントに絞って、セイコーマートの独自の経営を分析します。
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