「知られざる本社所在地」「手掛けている意外なビジネス」「ロゴマークに込めた真意」「名物社長の経歴」――ビジネスを楽しくする企業トリビアを紹介していく。
「『宅急便』は普通名称ではなく、ヤマト運輸が商標登録しているもの。『魔女の宅急便』を作ろうとしていたジブリともめていたが、最終的にヤマト運輸がスポンサーになることで解決した」――スタジオジブリの人気作品『魔女の宅急便』を巡る、こんなトリビアがTwitterで話題となっている。これは事実なのか。ITmedia ビジネスオンライン編集部はヤマトホールディングス(ヤマトHD)の広報に事実関係を聞いた。
投稿したのは「兎です。(FAKE)」さん(@Soviet_Usako)。4月1日午後9時時点で、約9600リツイート、約8万3000いいねを記録している。ヤマトHDの広報担当者は取材に対し「『宅急便』という単語はヤマトHDの登録商標という点は事実だが、スタジオジブリとトラブルになった事実はない」と回答した。
担当者は「スタジオジブリ側とは建設的な議論の末、共同提携という形で作品に関わった」と強調。実際、同社の創業100周年記念サイトの「100年のあゆみ」では「1989年にヤマト運輸が、徳間書店、日本テレビ放送網と共同提携で製作した映画『魔女の宅急便』(宮崎駿監督)が公開され、映画をご覧になった取扱店さまからも多くの反響が寄せられた」と、同作品との関係性を紹介している。
ネット上では「『宅急便』がヤマト運輸の登録商標であったことや登場キャラクターに黒猫がいたことが縁でヤマト運輸がスポンサーになった」「1985年12月、映画プロダクション風土舎は角野栄子の児童文学『魔女の宅急便』の長編アニメーション化の企画を立ち上げた。『宅急便』がヤマト運輸の登録商標であったことから、真っ先に同社にスポンサーを要請した。当初ヤマト運輸は難色を示したが、次第に前向きになりスポンサーになることを了承した」など真偽不明な逸話が、複数散見される。
作品に関与した経緯についても聞いたが「30年以上前のことで社内に記録がなく、不明確であるため、お答えできない」と明言を避けた。
ただ、同社は先述の社史に、同作品公開時のポスターとともに「作品の『こころを暖かくする宅急便です。』というキャッチコピーには、『こころ暖まる映画をヤマトがお届けしている』ことと、『宅急便が送る人や受け取る人のこころを暖かくするサービスである』 ことの、二つの意味が込められている」と記載している。
作品製作前のジブリ側との交渉の詳細は不明だが、この記載内容を見る限り、公開後は同社も作品のPRをしていたことが分かり、良好な関係を築いていたことがうかがえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング